着実にサービスエリアを広げるデリバリーサービスの「foodpanda」。2020年9月のサービス開始から約8カ月で20都市・エリアでサービスを実施している。今後はサービスエリアの拡大以上に、利用者の満足度向上に力を注ぐ考えだ。日用品などを取り扱うECも2021年内の実施を目指している。サービスを運営するDelivery Hero Japanでマーケティング最高責任者を務める津毛一仁CMOに話を聞いた。

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Delivery Hero Japan 津毛CMO

Delivery Hero Japan 津毛CMO

 
――2020年はフードデリバリーが盛り上がりました。改めて市場の動向などをお聞かせください。
 
新型コロナウイルスで2020年4月からは需要が大きく伸び、予想以上に市場が拡大しました。ただ、隣国の韓国では、外食市場の約20%がフードデリバリーと言われており、日本は約5%とまだまだ小さい。確かに2020年は大きく伸びたものの、我々を含めてまだまだ成長できる余地はあると考えています。使いやすいサービスを業界全体で提供できれば、今後の市場を10%20%と大きくしていけると感じます。
 
ただ、そこまでの市場規模に1年で持っていくのはさすがに難しい。日本ではこれまでもソバや中華、ピザを出前で頼む文化はありました。しかし、ITプラットフォームやテクノロジーなどの受け入れはかい離しているように感じるんです。そこをどう縮められるかも重要だと思います。
 
――利用者も増えた一方で、クーポンなどで利用してからそれっきりになってしまっている方もいるかと思います。利用頻度を増やすために重要なことはありますか。
 
日常的な利用には、経済的な面では「お得感」を伝えていかなければ難しいと思います。大手ECサイトでも日常的に使われるまでは長い時間をかけて、今の立ち位置まで成長しています。生活の中で当たり前のように使われるためには色々必要だと思います。また、プラットフォーマーとの取り組みも大切だと感じます。
 
――どのような取り組みでしょうか。
 
例えば、他の事業者で日用品や食料品などのデリバリーも始まっています。こうしたサービスの形を日本でも展開できればと思います。アジアでは「Dマート」という日用品の在庫を我々が持ち配送するという取り組みを実施しています。日本でもできれば2021年中に実施できればと思います。
 
――ECサイトとはどう違うのでしょうか。
 
大きく異なるのは、「30分以内に商品が届く」という点です。ネットスーパーは配送日や時間がどうしても限られるため、すぐに欲しいものは注文しにくい。機会の損失にもなりかねません。Dマートの場合、foodpandaで日用品の在庫を持ち、自前の配送網を活用することで30分以内に商品を届けます。自宅にいながらコンビニに行くような手軽さで注文できるのは、大きなメリットになるのではないでしょうか。正式なサービスアナウンスではないためまだ調整段階ですが、様々な事業者と取り組み、双方の利益になるような形を模索できればと思います。
 
――そういった意味では、配達員の確保が重要になります。
 
そうですね。ただ、ライダーの数自体は頭打ちになっている感じはあります。また、信頼していただけるライダーを育てられるかも、企業としては課題です。ここは各社とも共通の課題だと感じているのではないでしょうか。働き方の改善も重要です。ここで働きたいと思ってもらえることが大切だと思います。我々は、都市の中にライダースセンターを設け、ライダーそれぞれがコミュニケーションを取れる場を作っています。警察の指導による講習会にも取り組んでいます。顔の見えるコミュニケーションを図り、対応を進めていきます。
 
――今後については。
 
加盟店数は非公開ですが、出前館やUberにはまだまだ太刀打ちできない状態です。しかし、堅調には伸びており、特に名古屋や札幌など地方のキーシティは良い獲得ができています。これまで1週間に1都市のペースでサービスを広げてきました。2021年4月に東京でサービスを始めましたが、今後はどうやってシェアを獲得するかを考えるフェーズと捉えています。これからは闇雲にエリアを広げるのではなく、どのように満足度を高めつつ、サービスを広げるかに取り組みます。日用品などはチャンスだと感じています。
 
日本だけの売上では元は取れていません。しかし、今後伸びると考えています。外資含めて競合の参入も続々と増える中で今後も投資を続けていきます。
 
日用品も広げていきますが、我々にとって一番大切なのは、飲食店のフードです。食事の価値は大きいと捉えており、ローカルフードも含めて好きな食事を自由に頼むことができれば、良いサービスだと多くの方に感じもらえるのではないでしょうか。地域に紐づいた食べ物こそ、実は人気があります。そこにきちんと光を当てて、取り組んでいきます。
 
〈冷食日報2021年6月15日付〉