トロナジャパン 個食好調で2桁増維持、「すき家 牛丼の具」は順調推移、2021秋は「どんぶりの具」7品投入へ

トロナジャパン「すき家 牛丼の具」
コロナ禍に伸長する冷凍食品。トロナジャパンでは「すき家」ブランドを冠する「牛丼の具」が順調に推移したという。家庭で過ごす時間が増えて個食関連の商品は着実に売り上げを伸ばす中、この秋にはどんぶりの具の新商品を7品投入し、更なる売り上げ拡大を図る。安井晴彦部長と、小川東吾次長、外食店監修の丼の具シリーズを担当した田村良太マネジャー、カツ丼の具やミールキットシリーズを担当した鈴木真由美主任らに話を聞いた。

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トロナジャパン 安井晴彦部長

トロナジャパン 安井晴彦部長

――冷凍食品の販売状況は。
 
安井:2020年の売上は業務用と小売向けの商品を合わせても、前年比で2桁の伸長だった。販売比率としては元々小売向けの商品の比率が大きく、売上比率はより増えた。
 
業務用の販売先はスーパーの惣菜やベーカリーなどに加え、外食やカラオケ、アミューズメント施設があり、緊急事態宣言で外食などは営業を一時的にやめるか規模を縮小するなどしたため、売り上げは低下している。
 
一方、小売の冷凍食品は、1回目の緊急事態宣言で実績を大きく伸ばした。当社の場合、丼ぶりの具やピザなどの1食完結型の商品が売れた。スナック的な商品も順調だった。21年1月から6月の全体の売上は、二けた増をキープした。
 
小売向けは今まで冷凍食品を使っていなかった人の利用が増え、実績は好調だ。外食を控える傾向は依然としてあり、ゼンショーグループで展開の「すき家」や「なか卯」が監修した商品の売り上げが大きく伸びている。コロナ陽性者の増加により、買物頻度を抑える傾向にあり、冷凍食品は買い置き需要もあり堅調に推移した。
 
業務用は前年を上回ったものの19年比では落ち込んでいる。
 
――好調だった商品は。
 
安井:一番売れたのは、「すき家 牛丼の具」だ。今の需要にマッチしていたことが大きい。今は一食完結型の商品やおかず、スナック商品などは市場から支持されている。冷凍食品が家庭の食事として選ばれるようになったことが後押ししたと考えている。
 
――今春発売の「ミールキット」の動向は。
 
安井:ミールキットは多くの企業でもチャレンジしているが、難しいと聞く。私たちも同じような状況だ。精肉や鮮魚のミールキットはチルドで昔から置いている。しかし冷凍食品は、レンジで調理すればすぐに食べられる商品が多いため、炒めるだけでも手間に感じる人も少なくいなためか、手に取ってもらうことが難しい。どう定着させるかが今後の課題だ。
 
――今秋の新商品の特徴は。
 
安井:丼ぶりの具系の商品が伸びていると話したが、今秋は丼ぶりの具系の商品だけで7品を投入する。2~3年前はスーパーの品ぞろえとして2~3SKUしか置いていなかった。しかし、コロナ禍に家庭で過ごす時間が増え、大きく伸長した。テレワークの浸透も利用につながっている。今回はそこに着目した。すき家ブランドの商品だけで5品、それ以外の丼ぶりの具材でチャンスのありそうなものを2品投入する。
 
※SKU=最小管理単位(容量違い・フレーバー違いなどを別個に数えたアイテム数)
 
田村:今回投入の「すき家」監修商品は、店の味を家庭で食べられる商品で、自宅で店に行った気分を好きな時に楽しめるようにした。今は販売していないが過去に人気だったメニューや、店舗でも人気のメニューを冷凍食品にした。このカテゴリーの活性化につながればと思う。
 
鈴木:「すき家」ブランドでない丼ぶりメニューは、「おかず三昧 ロースカツ丼の具」と「味噌カツ丼の具」を発売する。若い人でも自宅での食事が増えており、今回は男性にも満足してもらえる商品として投入する。カツ丼は最後までご飯を美味しく食べられるようにだしの量にもこだわり、レンジ調理でも卵が固まらないように調整した。味噌カツ丼の具は、長距離移動を自粛する中で、ご当地感を感じてもらうメニューとして開発した。
 
安井:弁当商材のブラッシュアップにも力を入れた。スーパーでは売場が縮小傾向にあるため、売れる商品でなければならない。例えばエビフライは、サクッと感を重視して改良した。「炙り仕上げ さば塩焼」は、弁当に入れるとサバなのでどうしてもニオイがこもってしまっていたが、炙りの工程を加えることで風味が向上し皮まで食べられるようにもなった。弁当でも使いやすくして新商品として投入する。これらの新商品の投入で、売上の2ケタ増を目指したい。
 
小川:今回、どんぶりの新商品を購入した人を対象にキャンペーンを10月から予定している。スーパーやドラッグストア、当社のEC サイトなどで購入した人を対象に、体験型ギフトカタログや商品の詰め合わせなどを贈呈予定だ。
 
――今後の見通しは
 
安井:ワクチンの接種は進みつつあるようだが、新型コロナウイルスの影響は長期化すると考えており、引き続き家庭で食事機会は多い状態が続くと見ている。テレワークなど新たな働き方も定着しつつあるので、冷凍食品の市場は今後も伸びると推測している。今秋の新商品はこうした動きも踏まえており、ミールキットの新商品も投入して市場の開拓を目指したい。また、冷凍めんも伸びているため、トッピングに使える「うどんやそばにトッピング えび天」という冷凍の海老天も発売する。スナック商品として、食感にこだわったチキンナゲットも提案する。価値ある商品の発売で、より売り上げを伸ばせればと思う。
 
小川:私たちは少し珍しい商品も出している。これからも新しい切り口の商品で冷食市場の活性化にもつなげていければと思う。

トロナジャパン「うどんやそばにトッピング えび天」

トロナジャパン「うどんやそばにトッピング えび天」

〈冷食日報2021年8月30日付〉