冷凍ポテトを取り巻く環境が厳しさを増している。米国の港に端を発する海上輸送の世界的な混乱で、商品が届きにくい状態にある。加えて、輸送費や原料の高騰などで利益面にも影響が出ている。混乱は当面続く見通しで、メーカーでは対応に追われている。

シンプロット・ジャパンの小野弘樹社長は、現在の状況を「2014年に、米国の西海岸の港湾労働者との労使交渉がもつれて、商品の供給が遅れてしまうことがあった。今回はさまざまな要因により2014年よりもはるかに厳しい状況だ」と話す。

物流は世界的に混乱している。発端は新型コロナウイルスの世界的なまん延だ。いわゆる「巣ごもり消費」でネット通販の利用者が大きく増え、モノの輸入量は増加した。アメリカではネット通販の利用がコロナ禍以前と比較して30%以上伸びたとも言われている。

加えて、アジア発北米向け貨物の急増や、港湾作業員の不足によるコンテナ処理能力の低下、コンテナ不足など、複数の要因が重なり、物流は混乱に陥った。経済活動の再開による物流需要の急増も今回の事態を加速させている。米国西海岸の港湾では大幅な混雑が発生し、世界の主要港でも船混みは深刻化している。

米国西海岸の港の現状を、あるメーカーの担当者は「完全にキャパシティを超えている」と話す。通常ならば、沖で荷積み待ちをしている船が2隻いることは珍しかった。今は、70隻以上の船が荷積みを待っているという。

また、注文した商品が届くまでに通常よりもはるかに時間がかかる状態になっている。「平時ならば注文すれば多少の遅延が起きても商品は届く。今はいつ届くかまったく分からない」(別の冷凍ポテトメーカー関係者)という。

冷凍ポテトメーカー各社では、安定供給のために輸送便の確保などを進めている。しかし、「予約していた船舶が突然キャンセルされていたなんてこともあった」(シンプロット・ジャパンの小野社長)と話す。そうなった場合、別の船を確保しなければならなくなるため、在庫は積み重なっていく。仮にまた運べなかった場合は運べなかった荷物が繰り越されるため、1回に入荷できる量のばらつきが発生している。

あるメーカーでは、確保できた商品量が平時の半分ほどまで落ち込んだ。

さらに、輸送コストはコロナ以前と比べて20%近く上がったほか、ポテトを揚げるための油の価格も高騰している。加えて、米国産のジャガイモの不作の影響で原料自体の価格も上がっている。

コストを少しでも抑えるために、一部のメーカーでは商品の休売や終売を進める動きもある。しかし、メーカー関係者は「薄利どころか、商品によっては売っても赤字になるモノもある。ここまで来ると、企業努力だけではさすがに厳しい」と苦い表情を見せる。

海上運賃などの費用は今も上がり続けており、厳しい状況は当面続くとの見通しだ。経済活動の再開によるポテト需要の高まりも、厳しさに追い打ちをかけるような形になっている。

シンプロット・ジャパンの小野社長は「米国の本社と話をしている限りだと、この状況は2022年一杯続くかもしれない」との見通しを明かす。また、米国の西海岸では22年に港湾労働者との労働協約交渉が予定されている。交渉がもつれてストライキという事態になった場合、更なる混乱も予想される。

〈冷食日報2021年11月22日付〉