ニチレイは12月7日、グループ中核会社の社長による年末記者会見をオンライン開催した。

大櫛顕也社長は、生鮮から冷凍へという流れがある点について「当社にとって追い風」としたうえで「コロナ禍は2年近く続いている。巣ごもりによって家庭で調理する方が増えたが、これだけ長く続くと、より効率的に、より便利に、より健康に、とニーズも多様化している。冷凍食品はそこを解決できる商品だと思う。新しいニーズ、マーケットを迅速にとらえることが、私たちの使命だ。冷凍食品はもともと大量生産、大量消費のビジネスを追ってきたが、一方で、より個人に近いニーズに冷凍食品を届けていく、という部分に経営資源を傾けていきたいと次の中計を含めて考えている」と話した。

大櫛社長=新型コロナウイルスの感染状況は国内では第5波が収束し、10月1日に緊急事態宣言が解除された。飲食店への時短要請も解除され“リベンジ消費”という言葉が使われるように情勢変化が起こっている。一方で新型変異株のオミクロン型が確認されるなど、今後の情勢はまだまだ不透明だ。コロナ影響としては当社グループでもタイのチキン加工品でワーカー不足によって供給能力が不足するなど大きな影響を受けているが、各種施策を実行して対応していく。

第2四半期までは売上高と営業利益は増収、減益となった。通期では売上高6,000億円、営業利益330億円を見込んでいる。売上高は回復、伸長しているが、営業利益は当初見込みから20億円下方修正している。原材料や仕入れコストの上昇があり、非常に厳しい状況だが、各事業会社でスピード感をもった対応を進める。

先ごろCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)が開催された。ニチレイグループもサステナビリティ経営に注力していく。国連が提唱する国連グローバルコンパクトに署名し、2021年11月15日に参加企業として登録された。人権の保護、不当な労働の排除、環境対応、腐敗防止――に関する10原則を順守、実践して事業活動していく。

昨年5つの重要事項=マテリアリティを特定した。今年度はグループとしての施策とKPI(重要業績評価指標)を策定した。気候変動の取り組みにおいては昨年、2030年度のCO2排出量削減目標を2015年度比30%減と公表していたが、今回のグループKPIでは15年度比50%削減に目標を引き上げた。グループのサステナビリティ基本方針についても現在、策定を進めているところだ。

海外事業について、当社は海外売上高比率30%を目標に掲げている。ロジグループでは英国とポーランドでM&Aを実施している。海外事業ではオーガニック成長に加え、M&Aやアライアンスを含めて規模の拡大を進める。

新規事業の取り組みについて。新たな価値を創造していくには人材育成が最も重要だ。特に、イノベーティブな人材育成のためにISO56002に基づくイノベーション・マネジメントシステム(IMS)を導入した。現在いくつかの取り組みが実証実験段階に移っている。

各事業においてはITやDXを活用した業務効率化と価値創出を進めている。

今年度は中期経営計画「WeWill2021」の最終年度となる。現在、次期中計の策定を行っているが、サステナブル経営を軸に考えていきたい。急激に変化する社会だからこそ、持続可能な社会の実現に対する期待をビジネスチャンスととらえ、さまざまなステークホルダーとともに社会課題を解決することで、新たな競争優位性を獲得し、企業価値の向上を目指したい。

質疑応答で海外事業の進捗については次のように述べた。「WeWill2020で海外販売は1,000億円の計画だったが、800億円ほどに留まるだろう。すべてがコロナ影響ではないが、いくつかの案件が後ろ倒しになっている。海外はロジグループが一番大きく今期400億円を超える。欧州地域の物流一貫サービスの構築として、アライアンスをしっかり組んで強化していく」「アメリカのアジアンフーズは堅調に伸びている。生産拠点を自前で持つことを検討していたが、需要が急増したのでOEMで調達している。今後、商品ニーズもサステナブル系など変わっていく可能性がある。その点を見極めたうえで生産拠点の保有も進めたい」。中国、東南アジアにも相応の経営資源を振り向けるとした。

〈冷食日報2021年12月9日付〉