味の素冷凍食品 餃子を冷食の入口に、店頭SKU数アップへ、業界初の紙パッケージ採用/2022年春季新製品

味の素冷凍食品の黒崎社長(右)と大竹部長(左)/2022年春季新製品発表会
味の素冷凍食品は1月20日、都内(HYPERMIX 門前仲町、東京都江東区)で2022年春季新製品発表会を開いた。

黒崎正吉社長は新商品のポイントとして〈1〉発表会のサブタイトル「ギョーザから始める“令”食LIFE」、〈2〉健康栄養、〈3〉環境対応・環境配慮した製品――の3点を挙げた。冷凍餃子は多様なニーズに対応させ、冷食を利用する入口として位置づけ、市場拡大を目指す。

家庭用では市場が拡大している、食卓のおかずカテゴリーに注力する。餃子で新商品・リニューアル品を計5品、から揚げはメーンターゲットであるファミリー層向け製品を投入する。また環境対応として、業界初の紙を使用したパッケージを採用する。

黒崎社長が第一に挙げたギョーザについては「新製品・リニューアル品でより良い物、便利な物、楽しい物にしていく」。ギョーザは発売50周年を迎える。ニーズの多様化にこたえ、ギョーザワールドをさらに拡大する。

背景にはウィズコロナの中で生活者の冷食への認識、位置づけが高まってきたことがある。黒崎社長は「2020年8月に我々が仕掛けた冷凍餃子の手間抜き論争はその大きな契機になったと思う。冷凍餃子や冷凍食品に対するネガティブな考え方が、よりポジティブな方向に進んでいる」と話し、昨年のオリンピックの際に選手村で提供された味の素冷凍食品のギョーザを選手が「世界一おいしい」とSNSで発信し拡散したことも一つの契機として「生活者の前向きなマインドを醸成した」とした。

また初めて買う冷凍食品として2021年、冷凍餃子が初の1位になった。冷食の入口としての冷凍餃子の役割を訴求していく。

冷凍餃子の市場規模は2020年度に約600億円、直近5年間は平均約7%伸長している。しかし依然、購入者率は43%に過ぎず、1年で平均6パックしか購入していないという。そのため伸び代は大きいと見る。味の素冷凍食品では時代の流れに寄り添い、多様なニーズにこたえていく考えだ。

定番の味の素ギョーザを中心として、健康志向には新商品「シャキシャキやさい餃子」を、簡単便利ニーズには「レンジで焼ギョーザ」をリニューアル、プチエンタメにはパンチの効いたビールに合う新商品「黒胡椒にんにく餃子」と「黒豚大餃子」のリニューアル、家族団らんニーズにはアレルギーを持つ家庭で楽しんでもらえる「米粉でつくったギョーザ」をリニューアルする。アイテムを拡充している餃子では、事業部と営業部門一体のプロジェクトを組み、店舗ごとに餃子のSKU数(最小の管理単位)を上げる取り組みをこの1年続けている。「流通企業に対して餃子カテゴリーを拡大していくことが冷食市場の拡大に直結することを訴えている。餃子が冷食の入口として重要な役割を果たすということが理解されつつあるととらえている」(大竹賢治製品戦略部長)という。

「50周年ということもあり、その取り組みと連動させて餃子SKU数を上げる取り組みの継続強化を行う」(黒崎社長)方針だ。健康栄養について黒崎社長は「2~3年後には『健康栄養といえばFFA』という価値を提供できるように努める」とした。

当季はアレルギー対応(餃子)、減塩(米飯)、野菜摂取(餃子)といった視点から新製品・リニューアル品を発売している。

環境対応について、黒崎社長は「ASV(Ajinomoto Group Shared Value)の中でSDGsの取り組み強化として挙げている、CO2削減、フードロス削減、プラスチック削減、サステナブル調達などを一歩ずつ推進している」とした。当季は業界初、日本初の紙包材を採用する。環境対応において、冷食はフードロス削減では優位性がある一方、プラスチックの使用が比較的多いという消極要素がある。

味の素冷凍食品ではトレー不使用、パッケージの省資源化、製造出荷時のバンド使用削減などトータルして、2020年度に合計約50トン削減するなどの取り組みをしているが今回、「地鶏釜めし」を冷凍食品業界初の紙を使用したパッケージに変更する。品質維持のため内側はプラスチックを使用しているが、紙マークを付けられる基準である、包材全体の51%が紙になっている。

〈冷食日報2022年1月21日付〉