冷凍ケーキ通販サイト「Cake.jp」躍進、バレンタイン販売数“コロナ以前の5倍”、アニメコラボも奏功

Cake.jpトップページ(キャプチャ)
コロナ禍に冷凍食品は大きく伸長し、様々なサービスの支持は広がりつつある。冷凍ケーキなどの通販サイト「Cake.jp(ケーキジェーピー)」も、今年のバレンタインの販売数が2020年比で約5倍になるなど、躍進した企業の一つだ。

有名店のケーキを扱い、現在は約5000種類の商品を販売。最近では「呪術廻戦」や「東京リベンジャーズ」といった人気アニメとのコラボ商品も好評を博している。高橋優貴社長に話を聞いた。

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Cake.jp高橋優貴社長

Cake.jp高橋優貴社長

――ケーキに着目したきっかけをお聞かせください。
 
個人的にデザインが好きで、それを活用して拡販するということが得意でした。その中で、化粧品やアパレルではブランディングが行われていたのに、デザインと相性の良いはずのスイーツは、当時誰も行っていませんでした。それを面白いと感じ、ECサイトを立ち上げました。取り組む中で、洋菓子店のシェフと話をすると、様々な課題を抱えていることに気づきました。
 
1つは、過酷な労働環境です。売上の予測が難しい中で十分な商品を作らなくてはならないため、長時間労働になりやすく、フードロスも発生していました。また、販売促進や商品企画なども自分たちで行わなくてはならないものの、職人さんはそこを苦手とする方が多くいました。これらの問題を、自分の持っている拡販のノウハウでどうにかできればと思いました。改善できれば、職人さんも製造に力を注げるのではと考えました。
 
また、ケーキの製造方法を教えてもらった際、仕込みの際はケーキを冷凍し、提供する直前で解凍しているところが多くありました。ケーキは本来、冷凍に向いていたんです。また、解凍した直後のケーキのほうが美味しく、配送もしやすい。冷凍で提供したほうが色々と効率は良かったんです。ただ、以前の消費者の冷凍へのイメージはあまり良くなく、そのギャップをマーケティングで埋められれば業界全体を良くできるのではないかと考え、「Cake.jp」というサービスを開始しました。
 
――現在の動向はいかがですか。
 
コロナ禍に店舗数も利用される方も大きく増えました。店舗の場合、これまでリアルな場で販売していたところが、来店者の減少で売り上げが落ち込み危機感は高まったものの、ECをいきなり立ち上げるにはノウハウがないため、声をかけていただくことは増えました。
 
コロナをきっかけに地方の老舗店も増え、店舗数は2020年の約5倍となる1500店舗まで広がりました。会員数も、コロナ以前は30万人でしたが、今では100万人を超えています。
 
――アニメコラボの効果はいかがですか。
 
非常に効果はありました。確かにスイーツをネットで買う人は増えましたが、まだまだリアルの方が多いです。そのため、店舗では買えない特別感のある商品も売っていると知ってもらうためには、人気のアニメと手を組み、認知度を上げられるのではと考えました。また、こうした商品の製造を加盟店にお願いすることもあります。多くの店舗では、こうしたことに取り組むのは煩雑なため難しいです。
 
コラボ商品は店舗の集客アップにもつなげられるため、「Cake.jp」での販売だけでなく、製造を請け負った店舗でも販売できるようにしています。
 
――ポップアップストアを出店した理由などをお聞かせください。
 
WEBの中だけでは訴求できるユーザーに限界があるためです。リアルの場所で、ネットで特別感のあるものを気軽に買えることを訴求し、認知を獲得することも重要と考えています。当社の場合、注文から2~3日で商品は届きます。ただ、今日すぐにでも食べたいという人もいるため、そのニーズに応えられるとも思います。ポップアップストアで様々な効果を測定し、将来的にはリアル店舗の出店も検討したいと考えています。
 
――自社工場もあります。どのような取り組みをしているのですか。
 
2カ所設置しており、これはラボ的な目的が大きいです。現在は約5000種類の商品を販売しており、それらの動向などで現在のトレンドを把握できています。データに即したスイーツのレシピを開発し、SNSで公開しているほか、店舗にも情報を提供しています。
 
また、店舗からの受託の件数が増えています。製造キャパが足りない店舗もあり、レシピを預かり、作りきれなかった商品の製造を請け負っています。
 
洋菓子の市場はトレンドの移り変わりが早く、それをキャッチアップするためには開発のスピードをより上げなければと思います。
 
――今後の展開などお聞かせください。
 
展望ですが、海外の有名店のレシピを頂くことができればと考えています。日本ではなかなか買えない有名店の味を日本で気軽に買えるようにできたらと思います。反対に、日本の人気店のケーキなどを、タイや韓国でも販売できるようになれば、販路をグローバルに広げられると思います。
 
また、誕生日ケーキなど特別感のあるものを、セミオーダーのような形で、1つしかないケーキを食べたいというニーズにも応えられればと考えています。
 
◆冷凍ケーキ通販サイト「Cake.jp」
 
〈冷食日報2022年3月17日付〉