味の素冷凍食品 寺本新社長「得意技を活用しユニークで唯一無二の冷食会社に」「アジアンフードで世界を席巻していくのがグループの思い」

味の素冷凍食品の寺本博之社長
味の素冷凍食品の寺本博之社長は7月6日、同本社で行われた専門紙向け新製品発表会で挨拶した。6月24日付で同社社長就任後はじめての会見の場での挨拶となる。

寺本社長は抱負として「味の素冷凍食品をユニークで、味の素ならではの得意技を活用した、唯一無二の冷凍食品会社にしていきたい」と話した。特に世界市場も視野に入れて「アジアンフードで世界を席巻していくというのが、我々グループの思いだ」と述べた。

〈以下、寺本社長のコメント〉
ある時期から、味の素グループのありたい姿として明確に抱き続けていることがある。味の素グループは世界中の生活者から「いつも、私と家族に寄り添ってくれて、健やかな心と身体のサポートをしてくれている、なくてはならない会社」と思ってほしいということだ。世界で単に、生きるために食べる人たちを目の当たりにしてきた。その食卓をより豊かにするという、大きな使命を我々の会社はもっていると考えている。

冷凍食品事業に携わることになったが、冷凍食品事業をこの夢をかなえるためのリーディングビジネスにするという思いで、味の素冷凍食品の仲間とともに成長軌道を歩んでいきたい。

事業運営の方針として、特に3点挙げたい。1点目は黒崎(正吉)前社長体制の下で力強く推進してきた、事業構造強化の歩みを緩めず推進すること。冷凍食品業界は厳しい競争環境にあるが、収益性の高い事業に育成していくというのが大事なミッションの一つだ。

2点目は前例や慣例にとらわれることなく、私たちの志に共感してもらえる社内外のパートナーを探して、積極的に共創し、ワクワクするようなイノベーションを生み出すこと。大変大事なミッションと考えている。

3点目について。私は2000年にインドネシア味の素に赴任し、半年後の2001年1月にハラル事件を経験した。この経験が社会人としてという以上に、人生の転機になった。この事件は、インドネシア味の素で頑張ってくれていた社員とその家族に大変な不安を招いた。反省しても反省しきれない思いがある。以来、共に働く仲間の笑顔を徹底的に追求するということを私の仕事をする上での志として心に刻んでいる。ホームページ上に掲載した挨拶の標題を『「笑顔」のために』としたのも、そういう思いからだ。仲間の笑顔があって初めて、生活者、得意先、すべてのステークホルダーに笑顔を届けることができると信じている。

この思いとともに、味の素冷凍食品をユニークで、味の素ならではの得意技を活用した、唯一無二の冷凍食品会社にしていきたい。冷凍食品市場の活性化にも貢献していきたいとも思っているので、支援をお願いしたい。

〈技術優位性には一日の長、勝ち抜ける〉
また冷食事業の方向性について寺本社長は次のように述べた。

「国内では商品カテゴリーによって強みと改善しなければならないところがあるのが現状だ。一方で(味の素グループの)冷凍食品事業はアメリカとヨーロッパと日本を主な拠点としている。今後、成長のベースになるのはアジアンカテゴリーだと思う。そこの技術革新と製品化はこれからも積極的に進めていく。

その中でユニークさを出していかなければならない。味の素グループであることをさらに我々の強みにしなければいけない。今秋の新商品・リニューアル品にも数多くの味の素グループとしての技術が生かされている部分がある。研究所を川崎に統合したことで、かなりシナジーが出てきていると思う。

私は6月末までは味の素で、冷凍食品や加工食品メーカーに、味の素の技術でおいしくする提案をしていた。おいしくする技術を日本で一番もっているグループという点を遺憾なく味の素冷凍食品の製品に発揮して品質向上を図っていきたい。技術優位性には一日の長があり、勝ち抜けると思う。

市場が伸びているので、プレーヤーも増えてきている。ただ、我々が全方位で戦うということではなく、戦う領域を明確にして、そこにヒト・モノ・カネを集中して勝ち抜いていくということだと思う。基本的にはアジアンフードで世界を席巻していくというのが、我々のグループの思いだ」

〈冷食日報2022年7月7日付〉