NZセントラルオタゴのエレガントなピノ・ノワール「ドメーヌ・トムソン」

「ドメーヌ・トムソン」マーケティング・ディレクター クラウディオ・ヘイ氏
ベリー・ブラザーズ&ラッド社が取り扱う「ドメーヌ・トムソン」から、マーケティング・ディレクターのクラウディオ・ヘイ氏が来日。「クロージャーの違いによる熟成検証セミナー」をBBR東京事務所で開催した。

「ドメーヌ・トムソン」は、香港在住のデイヴィッド&PMチャン ホール・ジョーンズ夫妻が所有するワイナリーだ。ピノ・ノワールを愛する夫妻は、ニュージーランドのセントラルオタゴとブルゴーニュのジュヴレ・シャンベルタン、つまり北半球と南半球を代表するピノ・ノワールの銘醸地にワイナリーを持ち、それぞれのテロワールを活かしてワインを生産する。

「ニュージーランドはピノ・ノワールとソーヴィニヨン・ブランで一躍名前を知られるようになった。ヨーロッパのように歴史がない分、ダイナミックなワイン造りができる。マールボロではその8割がソーヴィニヨン・ブランであり、セントラルオタゴは8割がピノ・ノワールだ。セントラルオタゴのワイン生産量は、ニュージーランド全体の1%しかないが、そもそもニュージーランドのワイン生産量が世界の1%しかない。それでも、ピノ・ノワールで名前を知られるようになったことを誇りに思う」とヘイ氏はいう。さらに、「ピノ・ノワールはデリケートで土壌をストレートに表現する品種だが、だからと言ってコントロールしすぎるとテロワールの個性を失う。ブルゴーニュにワイナリーがあることで、お互いの経験や挑戦をシェアし、影響し合えるのがメリット」だ。

2000年に植樹を開始。セントラルオタゴは大陸性気候で、「砂漠のように乾燥している」ので、有機栽培に適した土地だ。ドメーヌ・トムソンでも2010年よりオーガニック農法を取り入れ、2013年からはビオディナミも実践する。酵母は野生酵母のみを使用。「野生酵母は手がかかり、時にファンキーになるが、より個性を与えてくれる」。

〈スクリューとコルクの違いを比較、シングルクローンのPNも披露〉

ワインは、「エクスプローラー」(3,670円)と、デイヴィットの高祖父であり、ニュージーランド初の測量長官(サーヴェイヤー)だったジョン・トーマス氏の通称にちなみ命名された「サーヴェイヤー・トムソン」(5,340円)の2品。

「エクスプローラー ピノ・ノワール」は、標高300m近いムーンブロック地区のぶどうを使用。「サーヴェイヤー・トムソン」の畑は若干低地にあるテラスブロック地区のぶどうを使う。共に7~10日の低温浸漬後、マセラシオンも含めて2~3週間発酵。区画ごと、クローンごとにホールバンチの有無や樽の使い方で造り分け、38~40種類ものキュヴェを造り分ける。

〈スクリューとコルクの違いを比較、シングルクローンのPNも披露〉

ニュージーランドでは、スクリューキャップが主流になったが、同ワイナリーでは熟成のポテンシャルを知りたいと、ワインの一部にコルク(DIAM)を使う実験をしている。今回は特別にコルクバージョンを持ち込み、「サーヴェイヤー・トムソン」2011年を、スクリューとコルクで比較した。開けたての時はスクリューキャップのほうが香りは華やか、味わい的にはコルクの方が果実味を強く感じる。時間がたつと、コルクのほうにアーシーな感じが出てきてとても面白い。もうひとつ、参考商品としてシングルクローンのピノ・ノワール「Row1-37」も世界初公開。「興味本位で」初めて仕込んだ2014年ヴィンテージで、それ以降は造っていないとのこと。ワイルドなテクスチャーにスパイスのフレーバー。しっかりとしたタンニンが感じられる。

〈酒類飲料日報2017年12月22日付より〉