ワイン市場はこの10年で1.5倍に拡大した。円高時の輸入低価格ワインやチリ産動物ラベルワインがけん引して成長を続け、2015年には4年連続で過去最高数量を更新したものの、2016年にはマイナスに反転。昨年は若干持ち直したが、市場には停滞感が漂っている。

価格訴求でワインは日常化したが、価格競争がワイン売場をつまらなくしている。何よりも、ワインの楽しさを伝えなければ、ワイン文化は根付かない。これからは価格ではなく、価値で勝負したいとの考えは、どの会社も共通の思いだろう。今年の事業方針や新商品には、新たな提案が見て取れる。低価格チリワイン一辺倒だった売場が今年は大きく変わるかもしれない。

〈プレミアムチリワインで「価格帯」広がり〉
昨年150万c/sを達成したアサヒ「アルパカ」、そして日本での販売開始から累計5000万本を売り上げたメルシャン「フロンテラ」のチリワインビッグブランドが共に、「プレミアム」レンジの投入を発表した。「プレミアム」チリワインでは昨年3月、サントリーが「サンタ プレミアム」を発売している。

ただ、同じ「プレミアム」といっても、価格レンジは微妙に異なる。「サンタ プレミアム」が1,000円超であるのに対し、「アルパカ プレミアム」は参考価格1080円だが、店頭では1,000円を切りそうだ。メルシャンの「フロンテラ プレミアム」は実勢価格850円なので、実質は800円以下となるだろう。メルシャンには既にプレミアムチリワインブランド「カッシェロ・デル・ディアブロ」がある。「フロンテラ プレミアム」は、「サンライズ」と、「フロンテラ」との間をつなぐ価格帯別戦略強化の一環だ。

近年のワイン市場では、「ワンコイン(500円以下)」が活況で、「1000円以上」との二極化が進んでいたが、知名度の高いブランドが付加価値を持ったアイテムを投入することで、売場の価格帯にも広がりがうまれそうだ。

〈チリ一辺倒からの脱却~オーガニックも〉
EU とのEPA 協定妥結を受け、これまでチリワインに押されていたヨーロッパ産デイリーワインにも動きが出てきた。

価格帯は、さきのチリ同様、ワンコインと1000円の間が主流。ワンコインにプラス数百円を出してもらうための差別化は必須だ。

メルシャンは、フランス産オーガニックワイン「ベル・フルール」とスペイン産オーガニックワイン「メスタ オーガニック」を2月に発売する。共に実勢価格は970円。

「手頃とはいえ、チリ500円前後ワインとは異なる付加価値が必要な価格帯。試してみたくなる提案が必要」(同社)なことから、「ベル・フルール」は、フランス最大級のビオディナミの造り手「ドメーヌ・カズ」が監修、「メスタ」は、MW サム・ハロップ氏が監修と、高付加価値で訴求する。

「ベル・フルール」は日仏の共同開発で日本瓶詰だが、サッポロもふくろうラベルで知られるフランス「ミティーク」生産者と共同開発し、日本で瓶詰する「エマ・ミティーク」(参考小売1,000円)を2月に発売する。

また、サントリーが4月に発売するスペインワイン「ラ マンチャ デ ビエント」(カタログ価格890円)も、「日本人の味覚にあう」よう共同開発した日本限定ブランドだ。

〈新容器提案で飲用シーンを広げる〉
スクリューキャップ、PETボトル、ハーフボトルなど、容器や容量でワインのハードルを下げる提案はこれまでも多く見られたが、今年はさらに面白く進化した。アサヒが発売するアメリカワイン「ボタ」は、500ml紙パックと3LBIB の2ライン展開。500mlの重量はボトルワインの半分以下。さらに割れない、かさばらないという利点から、アウトドアでの楽しみ方も訴求する。サントリーは「カップ酒」ならぬ「カップワイン」を発売。また、メルシャンも「ワールドセレクション」シリーズから缶ボトル入りの「スパークリングワイン」を発売する。

〈酒類飲料日報 2018年1月29日付より〉
メルシャン「フロンテラ プレミアム」

メルシャン「フロンテラ プレミアム」