酒類にとって、平成というのはどんな時代だったのだろうか。清酒の様に需要が下がり続けたものもあれば、ウイスキーのようにどん底から復活を遂げたものもいる。ワインや焼酎のように「ブーム」が到来したものもあるだろう。また、ビール類の様に酒税に対し徹底抗戦の構えを見せ、「発泡酒」や「新ジャンル」と言った新しいものを生み出したものも。

とにかく「安定」と言う言葉は全く出てこず、激動と言う言葉がぴったりなそんな時代であったように思える。そんな酒類の「平成」を、「清酒」「焼酎」「ビール類」「ウイスキー」「ワイン」に分けて振り返ってみる。

清酒は、平成元年の時点ではビールに次ぐ数量であったものの、平成12年に100万klを下回り、平成29年には52.5万kl。平成元年と比較して61.2%減。

平成2年以降は基本的にダウントレンドとなっているものの、阪神大震災が発生した平成7年、東日本大震災が発生した平成23年は「被災地支援」の一環として日本酒が多く飲まれたためか上昇している。また、平成後期では純米酒と吟醸酒が若年層からも評価され出荷数量が増加。「十四代」「黒龍」「獺祭」など地方の地酒メーカーがその人気を牽引。大手メーカーも負けじと大手ならではの技術力を駆使した商品を多数市場に投入している。

国内ではダウントレンドが続いているものの、輸出は、財務省貿易統計によると平成元年には6,783klだったものが、官民一体となった取り組みが実を結んだためか平成29年には2.3万klで3倍超にまで成長。2010年代には「和食」のユネスコ無形文化遺産に登録されたことなどが要因と見られるが、平成30年も1~10月の累計で2.6万klとなっており、前年比11.8%増で推移。このまま伸びれば2.7万kl程度まで伸長することが予測される。

平成の大きなトピックスとしては、「級別制度」が廃止され「特定名称制度」が導入されたことだろう。これまで「特級」「1級」「2級」とされていたものが、精米歩合の大小や醸造用アルコール添加の有無などにより「本醸造」「純米」「吟醸」などのカテゴリー分けをされる制度だが昭和15年(1940年)から長らく存在した制度だけに、導入当初は市場の混乱も予測されたため、大手は級別制度廃止後も「特撰(=旧特級)」や「上撰(=旧1級)」「佳撰(=旧2級)」と「独自の」商品表示を展開。それに伴い税制も。

また、製造の現場も大きく様変わり。これまで季節雇用の「杜氏」が酒造期間のみ「蔵人」を引き連れて清酒を造っていたものの、大きな社会問題として取り上げられている高齢化の影響により「杜氏」が引退し清酒を造れなくなる蔵もちらほらと出てきたため、これまで雇用主だった「蔵元」が「杜氏」を務める「蔵元杜氏」が出現。こうなる未来を見越して大学時代に醸造学を専攻し、また、学生時代にできた横のつながりも活用し品質・技術の向上に繋げている。

そうしたメーカーがある一方、作り手が確保できずに廃業を余儀なくされるメーカーも多くあることも事実。需要の減少による廃業なども合わせ、清酒製造業者は平成年間(国税庁がデータを公開している平成元年から29年まで)で823場も減少した。

〈酒類飲料日報 2018年12月21日付より〉