国税庁酒税課は去る5月29日、「日本産酒類のブランド化推進事業」の選定結果を公表した。3月13日から4月3日までの公募期間に、応募総数は182件となった。国税庁において、外部の有識者による審査の上、24件を選定した。

審査は、事業テーマの設定(和酒ブランド化に結び付くテーマ)、事業実施の妥当性、事業の先進性・独自性・優位性・モデル性、事業の将来性の4項目で行った。焼酎関連では大阪市に本社を置く輸出商社のジーブリッジ、世界中で高く評価されているバーテンダーの後閑信吾氏がファウンダーのSGマネジメント、本格焼酎を専門に輸出を手掛ける南山物産の3者が採択された。

同事業に対する予算額は1事業テーマあたりの上限が2,000万円としており、今回採択された事業者にとっては大きなチャンスとなる。そこで今回は「『日本の古酒、熟成酒の深淵なる世界』を伝えるO2Oプロジェクト」で採択された南山物産の中山大希社長に事業の方針について話を聞いた。

「当社は本格焼酎を中心に古酒・熟成酒の輸出に注力しているが、今回の取組では本格焼酎・泡盛を中心に、ウイスキー、日本酒など“日本産酒類の古酒・熟成酒"の魅力を横断的に伝えられるような企画を国内で行う予定としている」と大枠を説明し、「とはいえ、当社だけで実行するとなると小さくまとまってしまうため、日本におけるミクソロジーの第一人者で、今年1月に宮崎県が主催した、宮崎本格焼酎とミクソロジストの饗宴が楽しめるイベント“SHOCHU Mix up 2020"でプロデューサーを務めた南雲主于三氏やウイスキー文化研究所など、業界の“オーソリティ"にも協力の打診をし、オンライン・オフラインでのイベントの開催を予定している。イメージとしては“古酒・熟成酒のテーマパーク"。規模感などは検討中ではあるが、できる限り多くの人を巻き込みながら、有意義なものとしていくつもりだ」と具体案を示した。

取り組みを通じて「具体的に狙う目標」を聞いたところ「もちろん国内外における焼酎市場の活性化。他の酒類、特に市場が大きく、焼酎と同じ蒸留酒のウイスキーのコアなファンに向けて長期熟成焼酎の魅力を伝え、焼酎ならではの魅力の“気づき"を与えられることができればと考えている。

また、対談のような企画も計画しており、それぞれの酒類の専門家が、それぞれ全く考え方が異なるであろう“熟成"に対する考え方を紹介しあうことで、コアなファンにも楽しんでもらえる内容になるのではないかと思う。日本を起点として、海外に波及させられるようなものとしていきたい」とファンの増加を狙う。

〈コロナ禍の中でも次を見据える〉
しかし2020年は「コロナ禍」で酒類業界には強烈な逆風が吹き荒れており、国外の焼酎市場も例外ではない。財務省貿易統計によれば、1~5月の焼酎の輸出数量は45.2%減、金額では14.8%減と大幅に減少している。

中山社長に「コロナ禍」の影響を含め、現況について聞くと「確かに新型コロナウイルス感染症拡大で国内外に大きな影響が表れている。当社も春先は影響がなかったとは言い切れないが、終息が早かった国の取引先もあり、トータルで見ればあまり影響はないと考えている。また、高付加化価値アイテムも含めて多面的に提案していたのも良い方向に転んだ」という。

続けて「創業3年目を迎えた今は、コロナウイルスの心配もしているが“これからどうやってステップアップするか"ということを考えることも多い。新しい人材の確保や新しい市場の開拓などやらなければいけないことは多くある。加えて、自分の中で焼酎業界を盛り上げるためのアイデアをいくつも温めている。

今は小さな“つむじ風"のようなものしか起こせないかもしれないが、今回選定された事業を含め、様々な世界の多くの人を巻き込みながら、当社らしく泥臭くやれることをやり、一丸となって、世界のSHOCHUを目指していきたい」と今後への意気込みを見せた。

〈酒類飲料日報2020年7月8日付〉