農畜産業振興機構は3月18日、東京都港区の同機構大会議室で中国の牛肉消費の実態に関するセミナーを開催した。

調査情報部の三原亙氏は「急拡大する中国牛肉消費の実態」と題し、急速に増える牛肉輸入と、中国国内の牛肉消費に焦点を当て現地調査の報告を行った。

それによると、近年、中国での1人当たりの牛肉消費量は右肩上がりに伸びているが、国内生産量はほぼ横ばいで推移しており、需要を補うため輸入量が急増しているという。輸入量の増加については、2008年頃から国内の牛肉価格が高値推移していることで、相対的に安価な輸入品へシフトしていることも要因にあると指摘した。

牛肉消費は、中国では豚肉文化が主流で、豚肉の消費量が圧倒的に多く、卸売価格でも豚肉は1kg当たり340円程度なのに比べて、牛肉と羊肉は1kg 850円程度と高級品であるという。また、豚肉は家庭での消費が多いのに比べ、牛肉は主に外食などでの消費が多く、都市部と農村部で比べても消費量に乖離が見られるとした(=図1)。

食べ方については、牛肉は役牛の肉であったため硬い肉と認識されており、小さく切るか、煮込んで食べるのが伝統的であるため、部位や品質ではなく安いものが求められ、輸入品についても豪州のグラスフェッドや南米産、乳廃用牛、スネなどの安い部位が多く消費されている。一方で、近年ではステーキや焼き肉、火鍋ブームといった新たな牛肉消費が見られ、健康志向から子ども向けのステーキが多く展開されており、都市部では主に若年層を中心に新たな消費傾向が拡大。それに伴い、高級部位の需要も増加傾向だとした。また、消費が増えるなかで生産は、中国は零細農家が膨大に存在しており寡占化が進んでいないとしたうえで、▽地域の粗飼料を給与していることから飼料の確保が難しい▽肉用牛の飼養管理技術が発展途上であり、生産コストの削減が困難▽環境負荷軽減のためのコストが高い――といった点から規模拡大のメリットは小さいとした。そのため生産が停滞し、今後も環境規制による負担増加や飼養管理技術への課題、安価な輸入品の存在から、生産見通しについては不透明感が強いという。

これらのことから今後の消費動向について、農村部での消費拡大や、若年層の間での消費が続けば、まだまだ伸びていく余地が大きいと推測できるとした。また輸入については、現在、スネなど安価な部位への需要が大きいが、今後ロイン系の需要がどの程度伸びていくのか、注視していく必要があるとまとめた。

〈畜産日報 2019年3月22日付〉