ハム・ソーセージなど食肉加工品の生産数量が過去最高を更新、2年連続で55万トン超

メーカー各社は幅広いアイテムを展開、さらなる需要拡大を図る
〈サラダチキンが大幅伸長〉
日本ハム・ソーセージ工業協同組合が発表した食肉加工品生産数量によると、2018年は過去最高であった2017年から約80t増の55万4342tとなり、2年連続で過去最高を更新した。カテゴリ別で見ると、ハム類は前年比0.9%増で、ロースハムが3.4%減と苦戦するなか、サラダチキンを含むその他ハムが38%増(数量では約4384tの増加)の1万5926tと大きく伸長した。その他ハムの1番の伸長要因として、サラダチキン市場の拡大が挙げられる。コンビニエンスストア中心の展開から量販店にまで取り扱いが広がり、現在ではブロックタイプ、切り落としタイプ、3連タイプなど様々な形態の商品がメーカー各社から販売されている。

ソーセージ類は、ウインナーソーセージが0.2%減と前年を下回ったものの全体では0.2%増と前年から微増となった。フランクフルトソーセージ、ボロニアソーセージはともに前年を上回った。プレスハム類は11.2%減、焼豚は5.4%減と前年を下回ったが、ハンバーグ類は3%増と伸長した。

〈大手4社はそろって売上伸長も、利益面は厳しい状況が続く〉
ハム・ソーメーカー大手4社(日本ハム、伊藤ハム米久ホールディングス、プリマハム、丸大食品)の19年3月期第3四半期までの加工食品事業における業績は、主力商品の堅調な推移、簡便アイテムの拡販、サラダチキンの好調などにより売上高は4社とも前年を上回った。一方、利益面においては、物流コストや電気・燃料費の上昇、人手不足による人件費の高騰、販売競争の激化、消費者の根強い節約志向などによって厳しい環境が続いている。各社では効率的な販促経路の運用、製造ラインの省人化、生産工場における改革・改善の継続実施などの対策を行っているが、3社が前年を下回る結果となった。

今春もメーカー各社は多くの新商品・リニューアル品を発売。主力ブランドの高い認知度をいかした新アイテムの投入や主力ブランドのラインアップ強化、容器・トレーのまま電子レンジ調理ができる簡便性の高いアイテム展開、拡大傾向にある家飲み需要に対応したアイテムの発売といった取り組みを実施している。

さらに、近年量販店の店頭では、減塩や糖質ゼロアイテム、機能性表示食品などの健康訴求商品をコーナー化する動きも目立つ。この流れに合わせて、今春も健康を訴求する商品の展開が広がっている。また、近年大きく拡大しているサラダチキンでは、サラダへのトッピングやそのまま食べるだけでなく料理素材としての利用を訴求することで、さらなる需要の拡大を図る動きがみられる。

〈食品産業新聞 2019年3月25日号〉