日本ハム・ソーセージ工業協同組合協力商社会(NSK会、会長:川村洋三川村通商社長)は7月5日、都内で第39回通常総会と第79回例会を開いた。今回の例会では、米国食肉輸出連合会(USMEF)の山庄司岳道ジャパンディレクターが「日米貿易交渉と輸入原料の需給見通し」について講演した。山庄司ジャパンディレクターは、シーズンドポークを例に挙げて新協定国との関税差が広がっていることを指摘するとともに、日米貿易交渉について、米国の食肉業界としては改めて早期の決着を求める立場を示した。総会での役員選任(任期1年)では、川村会長、上田祐弘副会長(OCI)、吉原政明副会長(ニッピ)をはじめ8人の理事・監事が再任された。

その後の第79回例会の冒頭、川村会長があいさつし、「ハムソー業界上場9社の決算では売上高は微増、しかし収益面では減益を余儀なくされた。年間の生産数量は過去最高水準に届くが、販売金額は微増にとどまり、人件費、物流費、燃料費の増加などコストの上昇を販売価格に転嫁できず苦戦している。調理加工食品は、各社共通して販売が好調だった。女性の社会進出から調理時間の短縮化、高齢者世帯・単身世帯の増加などで簡便性商品が支持される。一方で流通業界は、小売価格が低迷している。昨年も指摘したが、小売市場では、コンビニに次いでドラッグストアが大きなシェアを占め、2018年のドラックストアの販売金額は6%増の7兆2,700億円に達し、うち25%前後が食品の売上となっている。ハムソーも多くの店舗で販売される。ドラッグでは、食品を安価に販売しお客さんを集め、収益性の高い医薬品、化粧品を売っている。それがハムソー価格を安価に抑える一つの要因となっている。しかし、コンビニ、ドラックともすでにオバーストアと言われる。流通業界は人口減、少子高齢化、市場規模縮小に備え、合理化、再編の流れに入り、製品を供給する食肉加工品業界にも影響は必至」と、ハムソー業界の動向を報告した。

その上で川村会長は、「他社と横並びの製品だけでは、厳しい価格競争に巻き込まれる。一方で、消費者は昨年まで急速に伸びていたサラダチキンに代表されるように、簡単、便利、健康にかかわる商品には一定の価格を出して購入する傾向が顕著。資材などを供給する我々、関連業界は、刻々と変わる消費者のニーズに見合った商品を開発提供することでハムソーセージ業界と協力していかなければならない」とNSK会員の役割を強調した。

USMEFの山庄司ジャパンディレクターは、TPP11発効により関税が、協定国では豚肉の従価税が4.3%から初年度2.2%、10年目で撤廃、重量税は1kg 当たり482円が初年度125円、10年目には50円に削減され、ソーセージは10%から6年目に無税、シーズンドポークは20%から6年目に無税になることを紹介。

米国から日本向けにシーズンドポークは18年に10万t 弱輸出されていたが、現状では米国の20%に対し、カナダ、EU各国は13.3%であり、「原料で6%強の関税差は大きく、EU各国からの輸入が増えている」と指摘した。日米貿易交渉では、これまでの経緯と現状を説明した上で、米国食肉業界は早期の決着を望むとの立場を改めて示した。

また中国のアフリカ豚コレラ発生による原料情勢の変化については、もともと豚肉は世界で生産される大半が自国で消費され、生産量の7%しか輸出されず貿易数量が少ない中で、中国国内では生産量が2割減少、消費量も15%前後減少しているといわれるものの、「母豚が死亡しているとみられ、少なくとも来年にはかなりの影響が出てくる」と述べた。また「現状では、EUの豚枝肉価格が上昇しており、デンマーク、オランダでは27~31%上昇し、スペインは18%上昇している。また中国への世界からの食肉、家禽肉の輸出は年間600万t 前後と推定され、今年は900万t近くになる可能性もあり、影響は豚肉だけにとどまらない」と指摘した。

最近のUSMEFの活動としては米国産ラム肉の輸入が再開されたことを受けてラム肉のプロモーションを開始したことを紹介した。

〈畜産日報 2019年7月9日付〉