アメリカン・ビーフのステーキ・かたまり肉が定着、新たに切り落としを提案/USMEF

〈9月から12月まで冬の全国キャンペーンを展開〉
米国食肉輸出連合会(USMEF)は、アメリカン・ビーフのマーケティング・プロモーションとして一昨年秋から「ポンドステーキ」を提案している。厚切り肉ならではのボリューム感と満足感を与えるだけでなく、若者中心に人気の “SNS映え”など、アメリカン・ビーフを通じた食の楽しさも演出してきた。さらに新たな取組みとしてグルメバーガーに着目し、アメリカン・ビーフのパティを使ったダイナミックな肉の旨味と高級感を訴求している。いずれの提案も、近年の肉ブーム・ステーキブームに上手くマッチし、ステーキレストランはもちろんのこと、全国のアメリカン・ビーフの取扱い量販店では、厚切りステーキやかたまり肉が品ぞろえされるなど、日本の牛肉消費スタイルに新たな流れをもたらしている。

USMEFでは、今期も引続き「ポンドステーキ」「グルメバーガー」の提案を継続し、9月から12月にかけて冬の全国キャンペーンを展開する。さらに、「ポンドステーキ」に続く新たな訴求として、量販店向けに「切り落とし」を使用したメニューや、外食事業者向けに「アイダホ フィンガーステーキ」を提案しており、アメリカン・ビーフのさらなる需要の底上げを図る方針だ。

「アイダホ フィンガーステーキ」

「アイダホ フィンガーステーキ」

2018年のアメリカン・ビーフの輸入量は前年比3.3%増の24万7,428t。このうち、チルドが13万6,492t(同0.4%減)に対して、フローズンが11万936t(同8.2%増)となった。19年は1月~5月で9万8,014t(前年同期比6.2%増)、このうち、チルドが5万2,270t(同5.7%減)、フローズンが4万5,744t(同23.9%増)と、フローズンの増加が輸入をけん引した。また、18年の牛内臓の輸入は4万1,196t(3.1%増加)、19年1月~5月で1万7,816t(8.2%増)と堅調な伸びを見せている。
 
近年、量販店や外食店では輸入ビーフの取扱いを強化することで、売上げの拡大につなげているケースが増えている。アメリカン・ビーフにとって、昨年末のTPP11発効で関税でのアゲインストな面があるものの、USMEFとしては夏以降も積極的なキャンペーン・販促サポートを展開することで、アメリカン・ビーフの定番化・数量拡大を図っていく方針だ。
 
〈新たな切り口で提案、ステーキ肉で「ぜいたくハンバーガー」〉
USMEFは今期、従来とは一風変わった切り口で様々な提案を行う方針だ。このうち、量販店でのステーキの取扱いが広がっていることを受けて、今年2月からはアメリカン・ビーフのステーキ肉を使った「ぜいたくハンバーガー」を提案している。ステーキ肉を包丁やフードプロセッサーで刻んで、パンズや食パン、好みの具材を使って手軽に家庭で本格的なハンバーガーづくりを楽しむことができるもの。すでに、レシピやレシピ動画のQRコードが付いたシールなどの販促資材を提供している。より消費者への浸透を図るため、クッキングサポートを行う店舗の販売員向けにハンバーガーづくりのトレーニングも行っていく方針だ。家庭でステーキを焼くことが日常化するなかで、新たな調理用途を提案することでステーキ材の販促を図っていく。

ステーキ肉でつくる「ぜいたくハンバーガー」

ステーキ肉でつくる「ぜいたくハンバーガー」

〈夏は切り落とし×夏野菜を、冬はホットプレートでメニュー提案〉
この夏からは精肉売り場の定番商材である「切り落とし」をテーマにした提案も展開していく。メニュー提案が中心で、夏季には「野菜と食べよう!アメリカン・ビーフ」と称して、「トマトとビーフのワンパンチーズ蒸し」「きゅうりとビーフの生姜塩炒め」「茄子とビーフのスタミナそうめん」「アメリカンビーフサラダ」など、夏野菜とコラボしたメニューを小冊子やシールなど販促物で提案する。秋~冬の時期には、ホットプレートを使った「牛玉お好み焼き」「アメリカンビーフスライス」「チャドルバギ(韓国風焼きしゃぶ)」「鉄板ビーフナポリタン」など、家族や友人たちとみんなで楽しめるメニューを提案していく。
 
一般的に切り落とし材はチャックアイロールなど汎用性の高い部位が主に使用されるが、この提案を通じてショルダークロッドやカタ・バラ系の周辺部位なども活用できることから、量販店での取扱い商材の広がりも期待できる企画といえる。
 
バラエティー・ミートは、「シマチョウ(大腸)」が、昨年3月末にガイドを発刊して、フライパンを使った炒め物やご当地グルメ(ホルモン焼きそば・うどん)などのメニューと商品化のポイントなどを紹介し、新たなシマチョウのマーケットを提案してきた。この取組みが奏功し、一部の量販店ではチラシにも掲載されるなど、確かな手ごたえを感じており、引続きシマチョウの提案を継続していく方針だ。
 
「ポンドステーキ」については、17年11月の提案スタートから3年目を迎え、全国の量販店で厚切りステーキ・かたまり肉が品ぞろえされるなど一定の成果を収めている。「URBAN(アーバン)BBQ」コンセプトの提案も含めて、ステーキやかたまり肉を提案していく方針だ。
 
今年3月30日から6月30日にかけて合計1,500人にPRIMEサーロインステーキなどの景品が当たる「2019年春のアメリカン・ビーフキャンペーン」を実施した。前回(18年10~12月)の15万件の応募に対して16.5万件(速報値)と増加するなど好評だったことから、今期は1カ月前倒しての9月から12月にかけて4カ月間実施する計画だ。また、7月から8月にかけては、外食業界向けにハンバーガープロモーションを実施している。7月20日付「東京カレンダー」の特集でアメリカン・ビーフを使ったパティを紹介、8月には京阪神エリアのタウン誌に紹介、首都圏・大阪ではSNSや電車広告でアメリカン・ビーフのハンバーガーを紹介する。
 
〈畜産日報 特別増刊号 第9号 2019Summer〉