〈輸入在庫増が足かせか、正肉合計で840円前後の予想〉
盆休み明け以降不振にあえいでいた鶏肉消費は、量販店の棚替えが一巡して本格的に鍋物需要が強まる10月になっても状況は改善されず、モモなどようやく動きが出始めたのは10月最終週からとなった。ほかの畜種と同様、天候不順や台風など災害も相次ぎ、消費が停滞したとみられる。10月の月間平均相場も、日経加重でモモが557円(前年570円)、ムネが254円(同270円)にとどまっており、例年通り、月初にかけてジリ上げの展開となったものの、モモの値上がり幅は13円と、前年(18円)よりも勢いはなかった。11月は2週目以降、祝日やこれといったイベントはないものの、台風シーズンが一巡して、ようやく落ち着いた消費環境に恵まれるとみられる。

本来この時期、鶏肉需要は10月に盛り上がり、11月に一服、そして12月ピークを迎えるパターンとなるが、今年はイレギュラーな展開となった。これから鍋物需要がさらに強まり、そして年末の需要期へと移るため、モモ中心に引続き右肩上がりの展開となる見込み。ほかの畜種よりは売り易い環境といえるものの、国内生産も多いことから、どこまで上げられるかが焦点といえる。輸入品も先物コスト高から強含んでいるが、国内在庫も多く、輸入豚肉を含めて競合も考えられる。このため、相場の上りも小幅となり、月間平均ではモモが580円前後、ムネで260円前後、農水省市況ではモモが600円前後、ムネで270円前後と予想される。

[供給見通し]
日本食鳥協会がまとめているブロイラーの生産・処理動向調査によると、11月の生体処理羽数は前年同月比2.4%増と予想している。生体処理重量も同2.5%増と、処理羽数・重量ともに前年を上回る見通しだ。とくに北海道・東北はそれぞれ2.4%増、2.1%増、南九州地区(宮崎、鹿児島、沖縄)も2.4%増、2.6%増と南北ともに主産地は生産増が見込まれる。

一方、農畜産業振興機構の鶏肉需要予測(10月29日公表)によると、11月の国内生産量は14万1,700tで前年同月比3.1%増、輸入量に至っては4万7,800tで同10.7%増と、前年が少なかった分、2ケタ台の増加と見込んでいる。10月のブラジルの船積数量は3.2万tと前年より2,700t少なく、現地オファーもファーストで再び2,000ドル台半ば近い水準まで上がっているため、国内現物への引合いも強まっているが、倉入れが困難な状況下、高値で決めて購入した玉も多いことから、引続き在庫消化が課題となっている。

[需要見通し]
鶏肉需要は10月下旬になってモモの動きが強まり、手羽元も動き出したが、月初の段階では前年ほどの動きはないもようだ。ただ、農水省によると、懸念されていた天候不順や台風などでの野菜価格への影響については、11月は平年並みか平年よりも安い水準で推移すると見通しており、ここは鍋物需要の強まりに期待したいところ。ムネも鶏団子など加工需要も継続するとみられる。ただ、手羽先や砂肝など外食需要は消費税増税の影響などで厳しいとみられるほか、クリスマス時期に向けた骨付きモモの需要も、近年の嗜好の多様化もあり、厳しいか。

[価格見通し]
11月に入り7日の日経加重ではモモで570円、ムネで271円まで乗り、ようやく需要期入りらしい相場となった。今後、年末の需要期にかけて強含んでいくことには間違いないが、輸入品や豚肉との競合が強まっている中、どこまで上がるか注目されるところ。やはり、もう少し寒さが強まらない限り、鶏肉の供給増と在庫増が足かせとなっているか。昨年11月はモモ正肉、ムネ正肉ともに、年末の最需要期に向けて右肩上がりの相場展開となり、月末にはモモの日経加重で590円を超えた。今年は引続き月間通して前年価格を下回るとみられ、ピークで590円のラインに届くかがポイントといえる。月間平均ではモモが580円前後、ムネで260円前後となり、正肉合計で840円前後。農水省市況ではモモが600円前後、ムネで270円前後と見込まれる。

〈畜産日報 2019年11月11日付〉