自民党は2月14日、農産物輸出促進対策委員会を開催し、農林水産物・食品輸出額1兆円目標の達成状況を報告し、日本食品の海外プロモーションセンター(JFOODO)の活動概要についても報告した。福田達夫委員長(衆・群馬4)は「2019年目標の1兆円には達しなかったが、7年連続の増加となった。さまざまな状況下である程度の結果は出た。分析して、次に進んでいく。4月には輸出本部が立ち上がり、輸出拡大に向けた仕組み作りを行っていく」とあいさつした。

野村哲郎農林部会長(参・鹿児島)は「1兆円目標は軽く超えるとの展望を持っていた。水産物で伸び悩んだ。一方で牛肉などは伸びた。水産物が伸びなかったことが大きな原因だ。増加額も53億円にしかならなかった。どうしたら輸出を伸ばせるかを議論していく」と述べた。また牛肉輸出については「中国向け輸出解禁に向けて、10日から工場査察を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で延期になった。中国は身近な国であり、日本からの輸出を期待できるが査察は厳しい」と言及した。

2019年の農林水産物・食品の輸出実績について、農水省の塩川白良食料産業局長が報告した。輸出額は2018年同期比0.6%増の9,121億円だった。品目別では加工食品が5.5%増の3,271億円、畜産品は7.3%増の708億円だった。輸出先国・地域では、香港が2,037億円で1位となり、次いで中国が1,537億円、米国1,238億円となり、半数以上がアジア地域だとした。なお、香港では昨対比3.7%減、5位の韓国では21.0%減など10位圏内のうち5つの国・地域で昨対減となり、1兆円目標未達成に影響した。

〈牛肉輸出は2割増・297億円、和牛人気と認定施設増加も、現地仕様化などが課題〉
畜産品のうち、畜産物が19.8%増の534億円となり、内訳は牛肉が20.0%増の297億円、鶏肉が1.9%減の19億円、豚肉は8.7%増の11億円だった。牛肉は海外での和牛人気、輸出認定施設の増加により、金額では49億円増加し、輸出先ではカンボジア向けが34億円増加した。牛肉輸出では、海外需要増の取組みにより新たな販売先が拡大した。牛肉の国内生産量は2012年・36万tから2018年は33.3万tと減少したが、輸出量は2012年863t、2018年3,560tと大幅に増加している。

今後の輸出促進に向けた取組みでは、4月に設置される農林水産物・食品輸出本部において、政府一丸となり、輸出促進の基本方針、実行計画を作成し着実に実施する。輸出施設整備と認定の迅速化、輸出証明書の申請・発行の一元化なども図る。またGFP(農林水産物・食品輸出プロジェクト)による輸出診断・マッチング、輸出向けHACCPなど対応施設の整備支援も行う。合わせて和牛では、大幅な増頭・増産を進めるなど、品目ごとの課題に応じた生産基盤を強化する。プロモーションでは、JFOODOによる日本産品の戦略的なブランディングのためプロモーションを実施する。

JFOODOの活動概要は、大泉裕樹事務局長が紹介した。JFOODOでは2017年に5品目7テーマ(和牛・水産物・日本産緑茶・米粉・日本酒・日本ワイン・クラフトビール)を設定し、2019年には展開地域を拡大し、各市場の環境に合わせて広告、戦略PRを中心とした統合的マーケティングコミュニケーションなどを展開してきた。輸出拡大の課題については、事業者が日本市場向けに行っていることを、海外市場向けに行っている事業者は稀有であり、それが低いディストリビューション・マーケットシェア・ブランド力に表れているとした。製品の現地仕様化や、需要量に適した配送インフラ整備が不十分なほか、販促をインポーターに任せきりで、生産者自らが積極的に取り組む事例が少ないため、製品の魅力が伝わらず、生産者は現地ニーズを把握できていないと指摘した。

参加した議員からは、製品・産品のブランディングの重要性や、外交問題により輸出額が大幅に減少する可能性も常に視野に入れる必要性を訴えた。務台俊介氏(衆・長野2)は「米の輸出をしっかりやっていかなければならない。政治情勢が不安定な国・地域への輸出割合が高く、国・地域ごとに戦略を立てて輸出促進を行う必要がある」と述べた。米の輸出促進を求める声が多く、生米に限らず加工品や日本酒のさらなら輸出拡大を求めた。国・地域に関しては、世界人口の割合から、中華圏へのさらなる輸出促進を求める声も聞かれた。次回は事業者からのヒアリングなど具体的な議論を進める。

〈畜産日報2020年2月17日付〉