世界的な人口の増加に伴って食肉需要が増え、将来的な食肉価格の高騰と供給不足の問題が懸念されている。また、食品ロスなどの社会的な課題、多様化する消費者ニーズへの対応もあり、国内でも大豆などの植物を原料に使った代替肉商品の展開が広がってきた。

最近では、大手ファストフードチェーンでも代替肉を使った商品の取り扱いを開始しているほか、量販店でも専用の売場が設置されるなど代替肉商品は消費者にとって身近な存在となりつつある。

代替肉には、食肉を使わず大豆など植物性の原料を使った商品、細胞培養技術を用いて食肉を生産する「培養肉」などがある。食肉加工品メーカー各社は今春、食肉を使わずに大豆などを使って食肉のような食感、香り、味を実現した加工食品を本格的に展開している。

2015年から代替肉の研究・開発を続けてきた日本ハムは、肉のプロフェッショナルとしてのノウハウをいかした新ブランド「ナチュミート」を立ち上げた。家庭用ではハム、ソーセージタイプ、ハンバーグ、ミートボールタイプ、キーマカレーの5アイテムを展開。ソーセージタイプは自社工場で製造したこんにゃくを使っている。また、ハンバーグ、ミートボールタイプ、キーマカレーは3分の1日分の野菜を入れて、健康志向ニーズにも対応している。また、同社は細胞培養技術を用いた食肉生産などを行うインテグリカルチャーと共同で、動物細胞の大量培養による食品の製造に向けた基盤技術の開発を始めることを発表している。

伊藤ハムは昨年秋に発表した業務用商品での展開に続き、今春から家庭用商品でも大豆を使った商品で代替肉市場に参入。「まるでお肉のようなおいしさの大豆ミート」を商品コンセプトとした「まるでお肉!」シリーズを展開している。お肉のような「食感」「味」「香り」にこだわっており、ハンバーグ、ソーセージ、肉だんご、ナゲット、ハムカツ、やわらかカツ、メンチカツ、から揚げの8品をそろえている。

丸大食品は今春から「大豆ライフ」シリーズを立ち上げ、家庭用商品を展開。肉類は好きだが健康が気になる層をターゲットとしており、肉のような食感と食べ応えが特長となっている。1990年代から原料に食肉を使用していない商品を展開。2017年にはソース入りハンバーグスタイルの「お豆のちから畑のバーグ」、コーン、紫いも、枝豆を使ったナゲット「ベジナゲット」などを発売している。家庭用商品では3月上旬から「汁なし担々麺の素」「ジャージャー麺の素」「タコスミート」の常温保存可能な3品と、ハンバーグタイプの「大豆のお肉を使ったハンバーグ トマトのソース」「同 てりやきソース」の2品をあわせた計5品を発売している。

〈業務用商品も各社が展開〉
業務用商品ではスターゼンと大塚食品が3月上旬から、外食・中食向けに大豆を使った「業務用ゼロミート ハンバーグ」「同 ソーセージタイプ」を発売。外食業界での大豆を使ったメニューの増加などに対応して、外食だけでなく中食の弁当や総菜にも使いやすい規格のアイテムを投入。商品開発は2社で行い、スターゼンが販売する。

また、日本ハムは2015年から業務用商品の商品化を進めており、一部で商品展開をしてきた。今春から「ナチュミート」ブランドのハムタイプ、ソーセージタイプ、メンチカツタイプ、ハンバーグ、ミートボールタイプを発売している。

伊藤ハムは2019年秋に開催した業務用商品商談会で、おいしさにこだわった「ハム風」「ハンバーグ風」「ほぐし蒸し鶏風」「黒酢団子風」などの商品を紹介。畜肉加工メーカーならではの豊富なバリエーションをそろえられることを訴求した。

丸大食品は外食・中食業界から多くの引き合いがあることから2020年度中に「大豆ライフ」ブランドの商品投入を予定。共同でのメニュー開発を進めるほか、ハンバーグ、ハムタイプ、カルパス、ナゲット、ソーセージタイプなどの商品化を予定している。

〈食品産業新聞 2020年3月23日付より〉