牛肉の放射性物質検査、抽出検査移行で検査対象頭数は大幅な減少が見込まれる

食品中の放射性物質を検査するためのガイドライン「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」が4月1日から抽出検査へ移行するのを受け、汚染リスクに応じた牛肉検査の実施が求められている岩手、宮城、福島、栃木の4県はそれぞれ、県内事情を勘案した出荷検査方針を発表した。

福島県は肥育牛すべてを対象に全戸検査を実施する一方、ほかの3県は検査の全廃を基本としつつ、リスクの可能性が残る一部の牛について全戸検査(年間で1戸1頭以上の検査)を行う考えだ。これにより、検査対象頭数は前年(2019年)度に比べ、4分の1から10分の1程度と、大幅に減少することが見込まれる。また、流通大手で牛肉の放射性物質検査に熱心だったイオンは1日に新たな方針を公表するもようだ。

岩手県は廃用牛のみを対象に全戸検査を実施する。これにより、19年度は約2万9,000頭の牛に対して行っていた検査は、その大半が廃止される運びだ。

宮城県は、牧草などを給与されない肥育牛を検査対象からすべて外すものの、牧草が給餌される繁殖牛と廃用牛については全頭検査を維持。検査対象は5分の1まで絞り込む計画だ。

栃木県は、牧草を給与されない肥育牛に加え、輸入などによって汚染されていないことが確認できる粗飼料が与えられた牛についても検査対象外とし、汚染リスクの高い牧草地域で飼養された県北の一部地域の牛や廃用牛については全戸検査で対応する。同県畜産興課担当者は「検査対象頭数は10分の1ぐらいに減少するイメージだ」と話している。

一方、福島県は、有識者らで構成する諮問委員会の答申を受け、全戸検査を基本に、廃用牛について全頭検査を維持する方針だ。

〈畜産日報2020年3月31日付〉