スターゼン減収増益、業務用・外食で苦戦も小売は好調/2021年3月期第1四半期決算

〈国産牛肉の家庭内消費向け販売の強化と販売環境の一時的改善などで増益に〉
スターゼンは8月7日、2021年3月期第1四半期決算を発表した。同日、同社本社で横田和彦専務取締役営業本部長、鶉橋正雄取締役海外本部長、髙濵良一取締役営業本部副本部長、奥村浩明経営本部長、中野剛経営本部経営企画部長が会見し、決算の概要などを説明した。

最初に、横田専務が「同期の食品業界は、新型コロナウイルス感染症による外出自粛により外食需要が縮小する一方で内食需要が拡大し、前例のないほどの消費者行動の急激な変化に対応を迫られる事業環境となった。食肉業界でも、各商品の調達環境、販売環境が激変するなどの不確実性の高い環境が続いている。

こうした中で、当社グループは、さらなる成長を遂げるために、当社を存続会社とした販売子会社2社の吸収合併を行った。これにより販売部門の集約化と機能強化、意思決定の迅速化や業務のスリム化が図られた。新型コロナウイルス禍でも食品を安定的に供給する責務をはたすべく、衛生管理の徹底や柔軟な勤務体制などの対策を講じるとともに、人員配置の見直しなどによる業務負担の平準化を図り顧客の要望に応える体制を整えた。その結果、第1四半期の売上高は3.7%減の829億3,500万円、利益面では営業利益は6.3%増の9億7,900万円と減収増益となった」と総括した。

うち食肉では、売上高は外食需要、インバウンド需要減少による国産牛肉の販売価格低下で前年同四半期を下回った。しかし売上総利益は外食需要中心の商品群で販売苦戦があったものの国産牛肉の家庭内消費向け販売の強化や販売環境の一時的改善などで増益となった。

横田専務は、「国産牛肉の相場が比較的安くなった。外食で販売を落としたが、量販店で売り切ることができ利益を得た。輸入牛肉・輸入豚肉は小売中心に販売を強化し前年実績を上回った。外食向けの需要が大きい輸入鶏肉(大半がブラジル産)、輸入オファールは落とし、輸入食肉全体では売上高、売上総利益とも前年を下回った。

輸出事業は、欧米向けを中心に落ち込んだが、感染拡大封じ込めに成功している台湾を中心に取り組みを強化し、輸出全体の取扱量は若干の減少にとどまった。これらの結果、食肉部門の売上高は3.9%減の658億8,000万円、一方、売上総利益は国産牛肉の国内販売の貢献により増益となった。業務用、外食の需要減で苦戦する一方で、小売が好調で利益を残すことができた」と説明した。

また、加工食品は、「当社はコンシューマーパックだけではなく、外食・中食向けの販売が多く、小売・外食が半々を占める中で、外食向けハンバーグなどの販売で苦戦を強いられた。一方で内食需要の拡大に対応するため、小売り向けに家庭内調理ニーズに沿った商品の販売を強化し、特に豚肉を使用した半調理品の取り扱いが順調だった。

ただ、内食需要に対応できたものの、外食向けハンバーグの落ち込みをカバーできず、売上高は0.5%減の131億2,400万円だった。ハム・ソーセージも同様に、コンシューマー商品の販売は好調だったものの、外食向け業務用商品の販売で苦戦を強いられ、売上高は15.4%減の26億9,400万円、売上総利益も前年を下回った」。

現状について、横田専務は「8月に入っても状況は大きく変わっていない。一時、外食で回復の兆しが見えたものの、居酒屋が夜10時で閉めるなど感染拡大による自粛で再び厳しい状況になっている。小売は、通常のお盆なら首都圏の量販店からの発注はほとんどないが、今年は通常より忙しいくらいの発注があり、皆さんが帰省せずに家で過ごし、引き続き家庭内需要が好調と見込まれる」と述べた。

〈畜産日報2020年8月12日付〉