〈10月和牛相場は前年水準まで回復、11月はジリ高か〉
今年の牛肉需要は、新型コロナウイルス感染症の影響で内食需要堅調・外食需要が不振という構図にあるなか、自粛・規制の緩和やGoTo トラベルキャンペーンなどの政策で観光需要が徐々に戻り始めている。

10月は祝日がなかったものの、気温低下により鍋物需要が本格化、地方では観光地のホテルなどからの引合いが戻り、学校給食や牛丼チェーンでも和牛を取り扱う動きがみられる。そして、「和牛肉保管在庫支援緊急対策事業」を活用して年末用の凍結玉を仕込む動きも活発となった。

こうした状況を受け、10月の東京食肉市場の牛枝肉相場は和牛A5で2,665円(前年比25円安)、A3で2,157円(同23円安)と、ほぼ前年水準まで回復してきた。A2(1,982円・50円高)、B3(2,032円・6円高)、B2(1,808円・39円高)に至っては前年を超えるなど、安価な和牛を確保する動きが強まっていることが伺える。これに対して、交雑種や乳去は保管事業の対象でないことや一部和牛への需要シフト、ヒレ・ロースの不振から和牛ほどの伸びはないものの、一段上げとなっている。

11月の相場は、少なくとも前半は年末向けの玉の確保の動きが継続するとみられ、10月平均を上回る展開が予想される。問題は出荷頭数が増えてくる後半で、年末向けの枝の手当てが一巡したあとに一服、あるいは高値疲れの動きが出るか注目される。一部では中だるみすることなく12月まで強気で進んでしまうのではと見る向きもあるが、業界内の見方は割れている。

ただ、秋口ごろに想定した価格を大きく上回るいまの高値相場に、パーツでは逆ザヤがさらに広がっているのも事実。外食も接待自粛で和牛を使用する高級店は依然として厳しい環境にある。こうした状況を勘案すると、11月相場は和牛A5で2,700円前後、A4で2,350円前後、A3で2,200円と前後、上位等級との価格差が縮小すると予想する。

〈供給見通し〉
農畜産業振興機構の牛肉需給予測によると、11月の成牛出荷頭数は和牛が前年同月比5.5%減、交雑が同7.1%減、乳用種が同4.3%減としている。輸入品はチルドが1万9,900tの同6.9%減と減少する見通しだ。ただ、個体識別情報からみても、年末の需要期に出荷適齢を迎える黒毛和種の飼養頭数は前年同期よりも2~3%多いため、いまの高値相場を踏まえ早出しの動きも考えられる。また、輸入牛肉は豪州産の供給減少に加えて、米国産の入船遅れも生じており、代替として量販店では国産志向の流れを背景にホルスを仕掛ける可能性もある。

〈需要見通し〉
春先の勢いはないものの、鍋物商材や切り落とし、焼肉関係の動きは堅調で、量販店からのオーダーも多く、年末に向けても「プチ贅沢」として和牛の販促を強化する方向だ。観光・外食需要の回復の影響もあり地方送りの動きも続いている。このため、和牛・国産牛ともにヒレ・ロース以外のアイテムは概ね堅調に動いている。

バラも外食チェーンの取扱いや来年の焼肉スペックに向けた凍結回しの動きがあり、パーツ相場も2,000円程度で流れている状況だ。1カ月以上冷凍保管されていることが要件となる「和牛肉保管在庫支援緊急対策事業」も、年末売りの場合、作業スケジュール上、枝の確保は来週までが目途となるため、最後の買い込みの動きも予想される。

〈価格見通し〉
当初予想を上回る高値相場にあることで、末端がどこまで付いてくることができるか。量販店も和牛4等級で2,300~2,400円になると売れなくなるといわれており、相場の成り行きによっては交雑やホルスに流れる可能性もありそうだ。このため、和牛は前述の通りだが、交雑種はB3が1,450円前後、B21,280円前後とジリ上げ、乳去(搬入)は1,050円と予想される。

〈畜産日報2020年11月6日付〉