〈輸入品の需要刺激は限定的、量販店向け販売も視野に〉
11月の鶏肉需給は、引き続き国産生鮮は好調な内食需要を背景に量販店からの引き合いが強く、相場は続伸した。12月5日には香川県の採卵鶏農場ではあるが、2年10カ月ぶりの高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が発生し、その後県内で続発し、肉養鶏農場でも発生、兵庫、福岡にも拡大した。

12月には宮崎にも拡大。11月の相場への影響は限定的だったが、全国1位の飼養羽数を誇る宮崎に拡大したことで、12月の相場へ影響を及ぼしている。現状では全体の供給体制への影響は軽微だが、年末の需要期であることや、今後の続発・供給不安への不安感から相場は強気な推移を見せている。

一方で輸入品は10月からのGoToキャンペーンにより、消費が刺激されたことで上向くと思われたが、例年と比べ引き合いは限定的だった。中旬以降は新型コロナウイルスの再拡大から、東京都などでは飲食店の短縮営業が要請されるなど、外食需要回復にブレーキがかかってしまった。それでもサイズの大きい物は国産の代替需要が一部で見られた。またレッグは現地での生産遅れなどもあり、数量が限られることで品薄だが、強い需要は月内に限られる。

11月の月間平均相場は、日経加重平均でモモが655円(前年571円)、ムネが302円(262円)と前年を大きく超え、正肉合計では124円高となった。前月比でもモモが23円高、ムネは10円高となった。

〈供給見通し〉
日本食鳥協会がまとめているブロイラーの生産・処理動向調査によると、11月の生体処理羽数は前年同月比1.8%減、処理重量は2.6%減と、共に5月以来の昨対割れを見込む。今夏の酷暑の影響で導入遅れや増体不良だったことで、昨年実績を下回るようだ。他方で12月は羽数が1.4%増、重量は0.5%増と回復し昨対増を予測している。

結果2020年累計では羽数は2.5%増、重量は2.0%増と共に2%を超える増加を見込み、供給体制は着実に拡大を続けている。地区別では北海道・東北地区の12月の処理羽数は1.9%増、処理重量は0.3%増と予測。南九州地区(宮崎、鹿児島、沖縄)では、処理羽数は2.2%増、処理重量は1.7%増を見込む。

農畜産業振興機構の鶏肉需給予測によれば、12月の国産生産量は15.7万tと前年同月比3.1%増を見込み、前月比では1.6万t増を見込んでいる。そのため10~12月の3カ月平均では14.8万t・1.2%増と予測している。

輸入品は外食需要が回復しない中、買い付け時の国内在庫が高水準だったことから、8月以降は前年を1~2割下回っていたが、11月以降は1割に満たない減少幅に縮小され、12月は9%減・4.1万tを予測している。国内での再拡大が懸念される中、再び需要が減退することが危ぐされる。

〈需要見通し〉
国産生鮮は需要期を迎えたこと、気温の冷え込みによる鍋需要、景気後退により価格優位性の高い鶏肉への需要シフトなどの観点からも量販店を中心に強い需要を維持・拡大すると見られる。HPAIが宮崎県でも発生し、今後は続発や移動・搬出の制限により供給見通しが不透明であることから高騰も懸念される。

輸入品は外食需要が再び後退したことで、輸入量を絞っているとはいえ、国内在庫が積み増されることが懸念される。コロナ禍で外食が回復しない限りは、輸入量を絞りつつ一部を量販店向けなどに販売することで、適正在庫を維持する必要がある。

〈価格見通し〉
国産生鮮モモは、HPAIの発生と最需要期が重なることから一段高、ムネは横ばいと予測される。そのため12月の日経加重月間平均で、モモが680円前後、ムネは310円前後と予測する。農水省市況ではモモが700円前後、ムネが330円前後と見込まれる。

〈畜産日報2020年12月7日付〉