〈新しい消費機会を大きい市場と アルコール飲まない若者も掴め〉
「ヨーロッパ産チーズとコーヒー」と称し、チーズの新しい楽しみ方を発信するのは、C .P .A .認定チーズプロフェッショナルの佐野嘉彦さんと、オールシーズンズコーヒー店主のバリスタ齋藤淳さん。

11月29日都内で開催のCNIEL(フランス全国酪農経済センター)と、EU(ヨーロッパ連合)共同主催のプレス向けワークショップで、ウォッシュ、カマンベール、ブルーチーズとそれぞれに合わせたコーヒーとの組み合わせを「魅惑のペアリング」として紹介し、チーズの新しい消費機会を発見していく面白さを発信した。伝統的チーズにはワインという固定概念を取り払い、市場が大きいコーヒーとの組み合わせでチーズを「お茶うけ」のような存在にし、日常生活に取り入れる試みは、輸入、国産品問わずチーズを扱う各社の参考にもなりそうだ。

「近年、アルコールの摂取が減り、ビジネスマンも忙しい人はアルコール摂取が体に負担がかかるからと、ノンアルコールを選ぶケースが増えている背景もあり、より身近にあるコーヒーとチーズの組み合わせで、新しい消費機会を生み出せるのではないかと思った」(佐野さん)。

同日は、フランス産チーズと齋藤さんの店で提供しているコーヒーとの組み合わせで、ブルーチーズにはブラジルのコーヒーをペアリング、そしてさらに美味しくする副食材としてメープルシロップをちょい足しし、甘じょっぱいみたらし団子のような味わいも楽しめる驚きを紹介した。ウォッシュにはグアテマラのコーヒーと、シナモンをちょい足し、カマンベールにはエチオピアのコーヒーと、りんごジャムをちょい足して、甘いデザートのような味わいに変化させて楽しむのがポイントだ。

今回はスペシャルなコーヒーとの組み合わせだが、インスタントコーヒー、コンビニのカウンターコーヒー、缶コーヒーなど身近なコーヒーで、香ばしさやフルーティーさを見つけて、それに合うチーズを見つける「コーヒーからの逆算」も提案、チーズにはワインやビールなどという固定概念を取り払い、遊び心で飲み物との組み合わせを見つける面白さをアピールした。「コーヒーとチーズはユニークで新しい可能性のあるペアリングだと思う」(齋藤さん)。

フランスではない組み合わせだが、「西洋料理のポークカツレツが日本で和食テイストになりトンカツとなったように、日本人はアレンジが得意なので、チーズとコーヒーも日本オリジナルで楽しめる日が来るのでは?。そんな遊び心と期待を込めて楽しみ方を発信していく」(佐野さん)。

同日進行役を務めたソぺクサの吉岡佑姫さんも「日本ではお茶うけ、おもてなしの文化があるので、ここにチーズが登場したら素敵、嬉しい」と、コーヒーとの組み合わせが日本独自の食習慣として広がることに期待を寄せる。

コーヒーは家庭用、業務用を合わせて市場規模が約2兆5000億円の大きなマーケットであり、20年で消費量が34%増えている(日本のコーヒー需給表)。チーズ消費量も25年で倍以上に増加、16年度に過去最高の32.1万tを記録し、市場は今も成長段階。そのまま食べるシーンが多い輸入チーズをジャムなどとパンに挟んで、また国産チーズも甘いものとちょっと合わせて、コーヒーのような大きいマーケットと一緒に新しい消費機会を作り出していくことは、新しい購買層、若者の獲得につながり、消費拡大の切り口の一つになると思われる。

〈食品産業新聞2017年12月18日付より〉