日清食品ホールディングス(株)(安藤宏基CEO)は20日、「平成29年度IT賞」の最上位の「IT総合賞」を受賞した。受賞テーマは「180システムを7割超削減、40年使い続けたメインフレームを撤廃した『レガシーシステム終了プロジェクト』」。同社は「これからも積極的なIT活用を通じて業務の効率化を進め、経営革新に努める」とした。

IT賞は(公社)企業情報化協会(IT協会)が主催の、ITを活用した経営革新によって成果を挙げた企業などを表彰するもの。1983(昭和58)年に始まり、今回で35回目。来年2月8・9日の同協会主催「第33回IT戦略総合大会 (ITMC2018)」の会期内に、表彰式典・記念講演を行う。

〈受賞理由〉180システムを7割超削減、40年使い続けたメインフレームを撤廃した「レガシーシステム終了プロジェクト」=2008年に日清食品グループが持株会社制へと移行して誕生した日清食品ホールディングス(株)は、主力となる即席めん事業が国内市場で着実に成長を続けているほか、新たな市場の開拓やさらなる需要の拡大にむけて海外展開を加速し、事業のグローバル化に取り組んでいる。こうした成長や発展を支えてきた情報システムは、メインフレームを中心に 40年にわたって個別改修や周辺システムの追加が繰り返された結果、膨大な数のプログラムを抱えてシステム全体が複雑化し、その運用も非常に困難なものになっていた。

日清食品ホールディングスのIT部門である情報企画部が2015年11月時点で運用していたシステムの数は、基幹システムが3(SAP、メインフレーム、EBS)、周辺システムは180にも上っていた。そこで、業務上の必要性の低いシステムは廃止し、廃止するシステムは速やかに廃棄するとの方針を策定。メインフレームを撤廃し、レガシーシステムの7割超を削減することに成功した。その考え方と実行プロセスは、情報システム構築の参考モデルとなる事例である。

システム再構築に臨むにあたって、情報企画部では「まず、やめること」を考え、どうしても必要な場合は「統一基盤に集約する」ことを基本とした。

「最も非効率な仕事は、本来やらなくても良い仕事を効率化することだ」という P.F.ドラッカーの言葉の通り、使いもしないシステムを保全・改修することは、エネルギーの無駄使いである。メインフレームで動いていた「共済会貸付システム」は、その一例だ。貸付金管理と金利の計算をする「共済会貸付システム」は、運用者が1人、利用対象者の数も38人程度しかいない。検討の結果、メインフレームを使用する必要性はなく、Excel でも十分に対応可能であることから、Excel ツール化してユーザー部門に運用を移管した。一方で、どうしても必要だという機能については、基幹システムであれば「SAP」、メール、施設設備予約、ビデオ会議システムなどのコミュニケーション系は「Microsoft Office365」、人事給与系は「COMPANY」に集約し、人名検索は自前のイントラネットのままで継続するなどして整理と集約を進めた。その結果、180あった周辺システムは2017年6月時点で47、同年12月末には38にまで減少した。

その効果は顕著に表れた。メインフレーム撤廃による直接経費の削減、周辺システム停止による運用保守経費の削減により、情報企画部の経費を半減することができた。また、運用や保守業務の負荷が低減したことで、IT戦略の立案や新たな IT技術の積極的な活用など、創造的な業務により多くの時間を費やせるようになった。さらには、システム集約によって業務が整理され、残業時間の削減や有給休暇の取得増加など、所属員の「働き方改革」にもつながっている。

〈米麦日報2017年11月22日付より〉