〈次期はチキンラーメン60周年、過去最高利上げを計画〉
日清食品(株)(安藤徳隆社長)は19日、都内で2018年度基本方針説明会を開いた。2017年度の事業報告では、SNSを活用したコミュニケーションの展開により、若年層のユーザー獲得が進んだことや、カップヌードルブランド、どん兵衛ブランドが過去最高売上を更新する見込みと報告。2018年度方針では、〈1〉ロングセラーブランドの更なる進化、〈2〉シニア需要の創造――を掲げる。60周年のチキンラーメンについては、過去最高だった2003年(45周年)の売上を超える計画(2017年度比で約10%増)。また、「チキンラーメンという単一のブランドでなく“インスタントラーメン60周年"としてのコミュニケーションを図る」との考えだ。

〈安藤社長〉当社グループは2020年度に株式の時価総額1兆円を目指している。目標を掲げた当時は6,146億円(2015年3月31日時点)だったが、直近では8,622億円となり、着実に1兆円に向けて進んでいる。残り3年で1兆円に届くよう頑張っていきたい。

当社はターゲットとして大きく3つの層を重視している。1つ目は若年層、2つ目は女性層、3つ目がシニア層だ。マーケティング戦略としては、空中戦(テレビCM)、サイバー戦(SNSの活用)、地上戦(店頭につながる営業活動)の3方向で展開しており、若年層向けにはサイバー戦が重要になっていく。サイバー戦では、CMでは好感度ランキング3位以上、ヤフートップ、ラインニュースに取り上げられること、Twitter1万RT(リツイート)、まとめサイトへの掲載、動画再生100万回以上を指標としている。その中、2017年も色々な話題を作ることができたと思っている。「謎肉」やカップヌードルのCM、どん兵衛のCMと発信をしてきた。

また、CMで広告関連の賞を過去最高の26本いただいた(2016年度は20本)。さまざまな賞をいただいたことから、幅広い年齢層に支持をいただいていると考えている。そして2018年はシニアマーケティングを強化していく。当社ではシニア層の意識が変わってきていると分析し、“縮小"の機会を受け入れる新世代シニア“ダウンサイザー"に着目している。少量で便利で、加えてプレミアム感(クオリティ)が必要だ。

昨年、当社では「お椀で食べる」シリーズを発売した。これまでも小容量の袋麺はあったが、子供向けのもの。パッケージには「味噌汁のようなシズル」をあしらい、文字はシニアに馴染みのある明朝体を使用。これにより、シニアの方に自分たち向けの商品と直感的に捉えていただいた。

「お椀で食べる」シリーズは、市場に対してもインパクトがあり、発売した9月、10月はシュリンク傾向が続いている袋麺の市場が金額ベースで増加に転じた。チキンラーメンの購入世帯層は50代以上が48.2%だが、「お椀で食べる チキンラーメン」は56.6%。レギュラーのチキンラーメンと比べてもターゲットにフィットした商品といえる。

現在のシニアの中心層は65歳と捉えている。若い頃に“今までになかったもの"に触れた、イノベーション・シンパの世代ともいえる。この方たちは、「発明」→「すごい」→「良い」という連想のループを持っている。これを既存の商品の展開にも活かしていきたい。

加齢によって人の認識力や関心力は落ちていくという。マーケティングの考え方として、その前提に沿って考えてみると、認識の低下(分からない)、関心の低下(分かろうとしない)が進むと、人は動かなくなる。動かない人にどう働きかければ良いのか。それは「○○をしてください」というメッセージを送ること。きちんと「今です。買ってください!」とストレートに伝える。この考え方を「お椀で食べる」シリーズのCMで使った。「試しに買ってください」というメッセージは、当社では初めての試み。

2016年のデータではテレビの1日あたりの視聴時間は18~54歳で148分、60歳以上では200分以上と圧倒的に長い。過去1週間のBSチャンネル視聴経験の割合は、18~54歳で26.8%、60歳以上が60%以上とこれも圧倒的に高い。また、シニア向け雑誌も多様化している。ここへのアプローチも有効ではないかと見ている。

また、シニア欲求として、〈1〉打ち込めるものをみつけたい、〈2〉若く見られたい(脳内年齢は若い)、〈3〉若い頃できなかったことをしたい――の3つがあるという。当社が仕掛けるとしたら、「若く見られたい」というところではないか。イメージをどう伝えるか考えているところ。

また、若年層へのアプローチも抜かりなく行っていく。2017年のカップヌードルは「HUNGRY DAYS」というテーマで展開した。テレビCMは予告編が153万回再生、魔女の宅急便は672万回、アルプスの少女ハイジ198万回、サザエさんが530万回とシリーズ累計で1,500万回再生いただいた。シリーズの最終版も期待していただきたい。2017年度のカップヌードルはブランド合計で過去最高売上を更新する見込。高校生・大学生の喫食率は前年比8%増となった。

もう一つ、全世界のゲーマーをターゲットに発信を行う。1月26日~28日に世界最大の対戦格闘ゲーム大会「EVO」(Evolution Championship Series)がアジアで初開催となり、当社がトップ・パートナーとして特別協賛する。コントローラーを手にするゲーマーにとって、ピザやポテトチップスよりもカップヌードルは相性が良いという。これから、若年層では実際の格闘技の大会より、格闘ゲームの大会の方がメジャーになっていく可能性を見据えている。

どん兵衛では吉岡里帆さんと星野源さんのCMの好感度が高く、新作を出す度にCM好感度1位となった。当社では本社1階の入り口の横に、その時に大きくプロモーションしている商品の広告を出しており、SNSでも話題となった。どん兵衛もブランド合計で3期連続の過去最高売上を更新する見込み。高校生・大学生の喫食率は前年比9%増となっている。

カレーメシはカップ麺と変わらぬオケージョンで食べられることをCMで発信。「メンよりメシ」というコピーで展開したところ、前年比約30%増の見込みと好調に推移している。CM展開中はオーダーが集中し、生産が追いつかないほどだった。

チキンラーメンは60周年を迎える。2016年度、即席麺の総需要は過去最高を更新した。ただ、牽引しているのはカップ麺。袋麺は縮小が続いている。世帯人員は減少し、個食化が進み、これまでの袋麺のロイヤルユーザーは高齢化している。若い世代にとってはもはや袋麺を買う必然性がない。ただ、そこで「だったら若い人が買う必然性のある袋麺を作ろう」と考えた。商品については改めて紹介したい。

また、「チキンラーメンの60周年」は「インスタントラーメンの60周年」。敢えて「インスタントラーメンの60周年」でコミュニケーションを取っていき、全ての即席麺ブランドの拡販につなげたい。そして、チキンラーメンブランドとしては過去最高を目指す。2017年の実績から約10%増というところが目標。2018年10月にはNHKの朝の連続ドラマで「まんぷく」が放映される。この機会も逃さず進めていく。

〈米麦日報 2018年1月25日付より〉