厚生労働省はこのほど、国会に「食品衛生法等の一部を改正する法律案」を提出した。今国会での成立を目指す。「国内の食品衛生水準の底上げを図る」とし、改正内容は多岐にわたる。改正内容は大きく分けて7つ。公布から2年後に施行(1年、3年のものがある)するが、HACCPの義務化などについては経過措置期間を設けることも検討している。

〈広域的な食中毒事案への対策強化〉国・地方自治体の連携や協力を目的とした「広域連携協議会」を設置する。協議会のメンバーは厚労省本省職員、地方厚生局職員、都道府県の部長級の衛生担当者、保健所の食品衛生の担当者などを想定。「食中毒への対応はこれまで通り、地方自治体が主導するもので、国が取り上げるという考え方ではない。ただ、広域流通する食品が増える一方、地方分権の流れで、保健所を独自に設置できる中核市が増えるという逆ベクトルがある。昨年、食品スーパーの惣菜でO-157が見つかったが、保健所間の連携は必ずしも十分ではなかった。そこを調整できるような機能を想定している」。公布から1年で施行予定。 

〈HACCPに沿った衛生管理の制度化〉原則として全ての食品事業者に一般衛生管理・HACCPに沿った衛生管理の実施を義務づける。規模・業種は考慮し、取り扱う食品の特性等に応じた衛生管理とする。公布から2年での施行を予定するが、経過措置期間を置くことも検討中。

〈特別の注意を必要とする成分等を含む食品による健康被害情報の収集〉「いわゆる健康食品」による健康被害の情報を厚労省本省で集約するシステムを構築する。「健康食品には成分を濃縮してカプセル錠剤にしたものがある。こうした食品が健康被害につながる例があり、その情報をシステマチックに集める。その上で、必要があれば『こういった方は食べてはいけません』というような表示の変更や、場合によっては流通を禁止する等の措置をとることにつなげる」。公布から2年で施行予定。

〈国際整合的な食品容器具・容器包装の衛生規制の整備〉安全性を評価した物質のみ器具・包装に使用可能とするポジティブリスト制度を導入する。また、器具・包装の製造者には適正製造管理規範の遵守を求める。製造者・販売者は「規格基準に適合しているという情報」を事業者に提供することとする。公布から2年で施行予定。

〈営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設〉都道府県ごとに異なる営業許可基準を見直す。また、現行の政令で定める営業許可種について、営業実態等を踏まえた見直しを実施。加えて、営業許可種(34種)以外の事業者の届出制度を創設する。公布から3年で施行予定。

〈食品リコール情報の報告制度の創立〉食品衛生法に違反した場合の自主回収を自治体に報告する仕組みを構築。食品衛生上の危害が発生しない場合を除く。申請はWeb上にフォームを作成し、自治体に報告した内容をリアルタイムで厚労省本所が共有できる仕組みを構築。「現在でも7割強の自治体が自主回収の情報を集めているが、自治体によって報告を受ける基準や、報告を受けて公表する場合の基準は一定でない。広域での食品回収が行われた場合、自治体によって公表情報が違う場合もあり、消費者にとって分かりやすいとは言えない状態」。また、「『アレルギー物質の混入や、消費期限などの健康被害に直結する情報も同時に管理すべき』という声はあったが、根拠法が食品表示法になるため、一斉に改正はできなかった。そちらは消費者庁が対応すると聞いている」。公布から3年で施行予定。

〈輸入食品の安全性確保・食品輸出関係事務の法廷化〉食肉などのHACCPによる衛生管理が必要な食品は、輸出国で衛生管理がされているものでなければ、輸入できないようにする。また、必要に応じて衛生証明書の添付を要件とする。公布から2年で施行予定。

〈米麦日報 2018年3月22日付より〉