東北農政局の工事入札めぐり建設業者に排除措置命令=公取委

米麦日報 2018年6月18日付
〈現役東北農政局職員からOBへ事前情報流出、農水省に「申入れ」〉
公正取引委員会は14日、農林水産省の東北農政局が発注した農業土木工事(仙台東災害復旧関連区画整理事業)の入札に際して独禁法違反があったとして、都内の建設会社(株)フジタ(奥村洋治社長)に対し排除措置命令を下した。また同入札に参加資格を持つ建設業者10社に対しては「注意」、農水省に対しては「申入れ」を行っている。これに対し農水省は同日中に齋藤健大臣自身が緊急会見を開くなど、素早い対応を見せた。

東北農政局の工事入札は、入札参加者に対して事前に技術的な課題を示した上で、技術提案書の提出を求める仕組み。入札価格だけでなくこの技術提案書の中身が落札のポイントになる。公取委の公表によると、(株)フジタ東北支店の従業員が、退職後に再就職した元東北農政局職員で、これが現役の東北農政局職員に技術提案書の添削や助言を依頼していた。さらに他の入札参加者が提出した技術評価書の「評価点」や順位を聞き出し、トップの成績で落札を勝ち取ったとされる。

また同入札に参加資格のある建設業者10社にも東北農政局OBがいて、「入札前に参加の意向を相互に確認しあっていた行為が認められた」ため「注意」。

農水省に対しては、今回の入札だけでなく、「少なくとも2012(平成24)~2016(平成28)年度の間」、東北農政局の現役職員が、各社のOBに対して、様々な情報を提示していた「事実が認められた」ため「申入れ」を行ったとされる。「様々な情報」とは、この時点では未公表だった入札公告日、技術提案の課題、技術評価点・順位、非公表の積算金額、他入札の技術提案書の中身など。

これを受けて農水省は、齋藤農相自身が同日中に緊急会見。以下の通り述べた。「本日、公正取引委員会は建設事業者へ東北農政局職員が未公開情報を教示したことに関し、建設業者へ排除措置命令を下し、農林水産省へ再発防止の申し入れをした。我が省の職員が未公開情報を教示したことは極めて遺憾であり、厳粛に受け止める。特に被災地の方、そして国民の皆様にお詫び申し上げる。関係職員の厳粛な処分と再発防止策の構築を事務方に指示した。農林水産省として最大限に努力していく。これまで東北農政局でしてきた調査もあり、公正取引委員会に確認する必要があることもある。とにかく速やかに対応していく。再発防止策では発注業務に係わる職員全員を対象に対策を構築する」。

〈米麦日報 2018年6月18日付より〉