〈江守元彦社長「今後も信頼される測定器を作り続ける」〉
農業機械に関する学会「農業食料工学会」(会長=近藤直京都大学教授)は10日、愛媛で2018年度学会を開催、(株)ケツト科学研究所(江守元彦社長)の穀粒判別器「RN-700」を「開発賞」に選出した。同賞は革新的な技術を持つ農業関連機械に贈られる。

穀粒判別器「RN-700」は、米の「産地、品種、産年、等級」を目視で判断する農産物検査員の補助機器を目指して開発された。特に「等級」(1等米など)は、その米に含まれる整粒の割合で定義づけられており、RN-700は着色粒・死米・胴割粒・砕粒・白未熟粒を正確に判別することができる。

具体的には、米をトレイに載せ、〈1〉トレイ下部のLCD で透過撮影、〈2〉トレイ上部のLEDで反射撮影、〈3〉LCD にトレイ上の米の撮像(半分サイズ)を描き、スポット透過光として照射撮影――の3枚の画像を組み合わせることで、等級・搗精歩留りの低下要因となる米を判別できる。結果は本体ディスプレイ・内蔵プリンタのほか、PC やiPad などからも閲覧可能。iPad は専用アプリを作成し、iPad 操作計測器としての特許も取得した。同社が主要納品先の卸らにヒアリングすると、従来の判定結果には、納品先が特に重視していない項目も多かったことから、シンプル・低価格に特化している。

同日行われた表彰式では、江守社長が以下の通り喜びを表現した。
農業食料工学会・近藤直会長(左)、ケツト科学研究所・江守元彦社長

農業食料工学会・近藤直会長(左)、ケツト科学研究所・江守元彦社長(右)

江守社長=弊社は30年以上に渡って穀物、特に米穀の粒質を測る穀粒判別器の開発を重ねてまいりました。今回受賞しました「RN-700」は、永年の穀粒判別器開発で培った技術に加え、様々な問題を解決するため、2013年10月から農産物検査現場での使用に堪える器械を目指して開発してまいりました。ついては検査員だけでなく精米流通業者、また多くの米穀研究者の方々にもご使用いただけるよう、最新の画像処理技術を使用しながらも価格を従来器の3分の1以下に抑えました(編註:税抜58万円、従来器RN-600は198万円)。また、精度に影響させないよう、本体そのものが汚れないように、トレイにコメを乗せ、本体にはコメを残さない、というコンセプトで開発を始めました。

開発にあたって大変苦労したことは、米の外観品質には、弊社が創業以来開発し続けている水分計と違って絶対の基準がありません。そのためRN-700の検量線(目盛)の作成・調整には、様々な粒質で構成されたコメの基準サンプルを数多く作成しました。コメは生き物であることから、温度や湿度など、環境の変化によってすぐに変質します。製品の品質を保ち続けるために、基準サンプル作りはこれからも作り続ける必要があります。

器械の特徴としては、今回計測器としてLCDを初めて光源に採用しました。これによって胴割粒の検出能力が飛躍的にアップしましたが、LCD の発光パターンを最適化するために気の遠くなるような数のサンプル測定とパターンの組み合わせ試験を行いました。

測定項目については、農産物検査規格の未熟粒・被害粒のうち、現在の米穀の流通において特に重要視されている、精米歩留まりや炊飯に最も影響する胴割粒や白未熟粒などの粒質を測定しています。測定器は、どこで・誰が使っても安定した結果が得られることが大切です。今後も信頼される測定器を作り続ける所存です。

〈米麦日報 2018年9月18日付より〉