目に見えないカビ菌被害粒を選別・除去する技術を開発、アクティブ販売が新型選別機を発表

「AI Imagination Sorting Machine」外観(ただし筐体のみ)
穀物選別機の製造販売を手がけるアクティブ販売(株)(千葉県千葉市、髙梨敏雄社長)は、目に見えないカビ・カビ毒に犯された米粒を選別・除去する技術を開発、その機能を搭載した新型選別機を12月11日、発表した。

カビ・カビ毒を発生させる一部の菌(好気性芽胞菌や乳酸球菌)には、蛍光物質を備えた種類があり、深紫外LEDを当てることで、繁殖した菌を確認することができる(厳密に言うと、菌が繁殖することで破壊された澱粉質が紫外線に反応して光る)。アクティブ販売(株)は徳島大学との共同研究で、310nmLEDを使用した検出波長が400~520nm で判断できることを突き止めた。発光を確認できた(同定できた)菌は3種類だが、「穀物に繁殖しそうな菌はほぼカバーできている」(髙梨社長)。

この研究結果を応用することで開発したのが今回の技術。「紫外光LEDを照射し、その反射光をCMOSカメラで読み取り、不良品をエアガンで除去する」仕組みを、「対象体選別装置」として特許登録済み。開発した新型選別機「AI IMAGINATIONSORTING MACHINE」の商標登録も出願中だ。

新型選別機は200チャンネル、毎時16t能力。光学系は紫外光LEDだけでなく可視光LED、赤外光LEDも備え、検出系も紫外光反射用のCMOSカメラだけでなく、可視光反射用のCMOSカメラ、可視光透過用のCISセンサー、近赤外光反射用のCISセンサーも備えているため、菌被害粒だけでなく、着色粒、異物(ガラス、石、プラスチックなど)、乳白粒も除去できる。

分かりにくいが真ん中の白い筋が米粒

選別作業中(分かりにくいが真ん中の白い筋が米粒)

除去した不良品

除去した不良品

国内の米穀流通は低温保管の普及率が高いため問題ないが、特に輸入米は貯蔵だけでなく長期間の海上輸送の際も菌の感染リスクが高い。事実、昨年はMA米(輸入米)およそ12万tを検査し、「カビ状の異物」混入を理由に約39tが廃棄処分されている。ところが繁殖する以前の菌を目視で選別するのは不可能。
 
そこで依頼を受けて開発に臨んだのが今回の技術だ。SBS買受資格147業者(今年10月18日現在)の4分の1を超える約40社がアクティブ販売(株)の取引先で、すでに年明けにも(株)山川食糧(福岡)と(株)福糧(佐賀)への納品が決まっている。ただ「販売価格が、どうしても従来選別機の倍になってしまうため、ここをいかに抑えるかが課題」(髙梨社長)。
 
今のところ世界で唯一の新技術・新機能のため、需要はある。すでに東南アジア各国への輸出を視野に入れており、中国と台湾には特許も出願している。
 
〈米麦日報 2018年12月12日付より〉