米と並ぶ日本の主食であるパン。当然、新型コロナウイルス(以下、コロナ)による生活変化の影響を大きく受けている。

2月末の政府による小中高校への休校要請が最初のヤマだった。特に食パンに需要が集まり、各社とも対応に追われた。

3月中旬の東京都や政府の外出自粛要請が2つ目のヤマ。「食パンの需要が非常に大きく、特に首都圏からの発注がものすごいことになった」と、製パンメーカー関係者は語る。

KSP−POSによると、3月、4月、5月と食パンの販売は前年同期比約1割増で推移。アイテムによっては2割増、3割増という時期もあった。

家計調査でも、食パンの購入数量は3月が前年同月比4.7%増、4月が7.2%増、5月が15.2%増と大きく増加した。

一方で、菓子パン・調理パンは外出機会が減った影響で苦戦を強いられた。CVSや駅の売店などが主戦場のアイテムの減少幅が大きい。

業務用の冷凍パン生地も不調で、特にホテルやサービスエリア向けが落ち込んだ。各メーカーからは「食パンは伸びたが、全体は厳しい」との声があがっている。

判断が難しいのは6月以降の動きだ。6月は食パンが前年同月並みだったが、菓子パン・調理パンの販売が5月よりも落ち込んだ。

食パンの動きが落ち着いたのは、5月25日に全国で緊急事態宣言が解除され、外出が増えたことで外食・中食が増加したことの影響が大きいと見られる。その分、外出時に利用する菓子パンや調理パンが回復するとの予想もあったが、菓子パン・調理パンの販売環境はさらに悪化した。今後の動きが注視される。

また、昨年は長梅雨で気温の低い日が多かった。パンは猛暑になると販売が落ち込む傾向にあり、昨年の長梅雨はパンにとって追い風だった。しかし、その後の残暑が秋口のスタートにブレーキをかけた。

今夏も長梅雨となっており、8月の猛暑、9月の残暑も予想される。加えて、コロナ過という不確定要素がある。例年にない動きをしているパン市場だが、夏本番を迎えてからの動きも予想が難しい状態が続く。

〈食品産業新聞 2020年7月23日付より〉