「米が主食の国のほうがCOVID-19感染率低い」論文がアメリカのオンライン研究誌に掲載

米消費とコロナ感染者数の「負の相関関係」(横軸:国民1人あたり米消費量(kg)/縦軸:人口100万人あたりコロナ感染者数)
米を主食とした国のほうが、小麦を主食とした国より、COVID-19(新型コロナウィルス肺炎)の感染率が低い、との統計的解析結果が明らかになった。渡邊昌東京農大客員教授(元国立がんセンター研究所疫学部長、メディカルライス協会理事長)と飯沼一元(株)ライステック社長(工学博士)の連名による論文「Low COVID-19Infection and Mortality in Rice EatingCountries」のなかで明らかになったもので、論文は去る6月25日、アメリカのオンライン研究誌「Scholarly Journal of Food andNutrition」に掲載された。

論文によると渡邊教授らは米の消費量とCOVID-19感染者数(6月6日時点)の相関を、5大陸19か国(カナダ、アメリカ、メキシコ、アルゼンチン、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、ロシア、中国、日本、インド、インドネシア、韓国、南アフリカ、トルコ、サウジアラビア、オーストラリア)で統計解析。横軸に国民1人あたり米消費量(kg)、縦軸に人口100万人あたりCOVID-19感染者数をとってプロットすると、「負の相関関係」にあることが分かった(決定係数0.5916)。また横軸を小麦消費量に置き換えると、「正の相関関係」にあることが分かる(決定係数0.4879)。

小麦消費とコロナ感染者数の「正の相関関係」(横軸:国民1人あたり小麦消費量(kg)/縦軸:人口100万人あたりコロナ感染者数)

小麦消費とコロナ感染者数の「正の相関関係」(横軸:国民1人あたり小麦消費量(kg)/縦軸:人口100万人あたりコロナ感染者数)

論文のなかで渡邊教授らは「米食者は腸内細菌がよく、免疫機能が高くなり、感染を抑制しているのではないか」と推定。今後のCOVID-19対策として、「特に玄米食や米糠の利用、全粒粉の普及など食生活の工夫や、農業政策にも目を配っていくことが望まれる」と指摘している。また「キスをする習慣(欧米)やマスクをする習慣(アジア)などを加味(補正)して計算すると、よりハッキリとした相関関係が浮かび上がってくる」とも。
 
〈米麦日報2020年8月12日付〉