令和3年産米の本格的な出回りが目前に迫るなか、本紙米麦日報では千田みずほ(株)・(株)ジャンボリアの千田法久社長に現況と方針を訊いた。(8月3日インタビュー)

――千田みずほのCOVID-19(新型コロナウィルス肺炎)禍以降の状況は。

まずは令和元年産の話になるが、やはり2020年3月は瞬間的に特需があったものの、翌4月には低迷した。なかなか浮上する気配がなかったので、端境期からは原価の高いものを切り下げて業務用にブレンドするなどした結果、そこまで多くの在庫を抱えることなく、2年産の出回りを迎えることができた。

とはいえ持越在庫は例年より多いので、2年産の仕入を例年よりもやや抑えつつ、全農玉と民間玉のバランスも意識しながら現在に至っている。もうじき3年産の出回りを迎えるが、古米となる2年産の販売先がほぼ決まっているのは一つ大きな安心材料だ。3年産についても現状は大きく方針を変更することなく、粛々と進めていく。生産者や集荷業者からの仕入比率を年々増やしてきたので2021年も同様に、特に付き合いの深い仕入先を大事にしながら買わせていただくつもりだ。 

――全体需給については。 

先日の7月指針を見る限り、やはり一番のポイントは需要見通しだ。2020年から2021年にかけての需要量は10万t減の704万tで、2021年から2022年にかけては703万tという点はやや疑問が残る。もう1点は生産調整と調整保管との関係。実際に生産調整面積が発表の通り積み上がるとしても、既に「米穀周年供給・需要拡大支援事業」(いわゆる50億円事業)で33万tの調整保管が決まっており、3年産が平年作であればそれらの数字はほぼバランスするだろう。ならば2年産と3年産が置き換わるだけで、総供給数量は変わらないことになる。つまり実際の需要減の分だけ供給過剰に陥ることになるので、現時点では3年産はダブつき気味の需給になるのではないかと見ている。 

――炊飯・中食事業を担うジャンボリアは。

緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出されるようになってからは来店客の消費行動が変化し、ジャンボリアの数字にも現れた。人々は感染防止のためにスーパーに行く回数を減らす代わりに、1回の来店でこれまでよりも多くのものを買うようになった。

当然だが、来店頻度が減れば乾麺や粉モノ、冷凍食品など保存性の高いものに目が行くようになり、ジャンボリアの扱うデイリー商品は日持ちしないので売上が減る。2020年の7〜8月は売上が約2割落ちた。既存の取引先だけでは回復が難しそうだったので、このご時世でも新規出店に力を入れている取引先や完全新規を開拓した。 

今までのような弁当だけではなく、家呑み需要を捉えたビールのおつまみや家庭では手間がかかると敬遠されがちな揚げ物など、そうした商品を早め早めに開発したのも良かった。取引先・消費者に喜んでいただける商品は何か、と社内で喧々諤々の議論を繰り返しつつ毎月のように3〜4か月先の商品を開発し、それが功を奏して売上は比較的早いペースで戻ってきた。

2021年6月期決算は売上高がほぼ前期並だった一方、各種経費の増嵩が厳しく、利益面は対前期比6割程度だった。それでもこの状況下で利益を確保できたことは大きいと思っている。

――経費というと。 

例えば公共料金の値上げから、畜産物・水産物など食材の高騰、燃料・輸送費、包装容器など。そして今年は最低賃金の引き上げも大きく、神奈川の場合は時給ベースで28円増の1,040円と決まった。

ただ一方、当社は24時間稼働の部署もあるので、人件費は必要経費だと思っている。特に外国人技能実習生には助けられている。つい先日、8人の実習生が実習期間を終えたが、そのうち3人が特定技能外国人としてさらに5年間働きたいと言ってくれたのは嬉しかった。今は当社で働く海外出身の正社員も多く、彼らを除いても200人以上の海外出身者に助けられている。ありがたい限りだ。 

――最後に、ジャンボリアの設備投資は。 

今期も機械の導入・更新は考えている。ただ、今はCOVID-19禍で順調に来ていた中食需要が流動的なので、そこが気がかりだ。先行きを見極めた上で市場が拡大傾向にあると判断できれば、設備更新を検討することができるかもしれない。 

――どうもありがとうございました。 

〈米麦日報2021年8月11日付〉