今シーズンの鍋つゆ市場は、個包装(小分け)タイプに一層の傾注が予想される。また、主力のストレートタイプはだしなどにこだわった1ランク上の高質タイプが注目される。鍋つゆは精肉、魚介類、生鮮野菜などとの連動販売が期待できることから量販店にとっては秋から春先まで期待の商品群だ。今シーズンは野菜価格が安定しており、320億円規模まで望めるなど、製販とも熱いまなざしを注いでいる。

味付き鍋(よせ鍋類)などの専用鍋つゆの昨シーズン(9~2月)市場は秋に野菜高が影響してわずかに減少、300億円を若干割った。しかし、野菜摂取意向は依然として強く、手軽にしっかり野菜が取れる鍋メニューが増加傾向にあることは間違いない。また夏でも野菜摂取意向から鍋メニューを行う消費者がいること、夏季用に鍋つゆの汎用性を訴求することで、春夏にも数十億円の市場が誕生しており通年では320億円規模に達したとみられる。さて、今期の鍋つゆ市場は近年着実に伸びている個包装タイプがさらに市場を伸ばすかと、主力のストレートパウチの高質タイプの需要状況の2点が注目される。

鍋つゆの代表格である3~4人用のストレートパウチは失敗がない、かつおいしいことから、7割を超えるシェアがある(図参照)。しかし、750~800gという重量や、使い切りで量の調節ができないないというマイナス面もある。

そこに登場したのが12年秋に味の素が発売した「鍋キューブ」だ。乾燥品ゆえの軽量さと、個包装が消費者に受けて大ヒット。すると翌シーズンから各社から個包装の濃縮タイプ(スティック、ポーション容器、小袋など)が発売された。1個(本)なら1人鍋用だが、実際はほとんどが3~8個入りで大人数にも対応している。

個包装タイプの昨シーズンのシェアは約20%。わずか5年でここまで成長した。その大きな要因は、各社の工夫によりおいしさを確保した上で、軽量ということが最も大きい。また、人数や食べる量、〆の有無に合わせて使う量を調節できるのもうれしい。PET・瓶も調節可能だが、空容器の処理などがあって個包装に移行した。

今期も味の素、エバラの2大メーカーが新製品を含め拡販体制を強化、さらにMizkanなど他メーカーも個包装タイプを用意しており、今期はさらにシェアを伸ばしそうだ。今シーズンの市場規模は70億円レベル、シェアは22~23%程度まで伸ばせそうだ。主力のストレートパウチは急成長カテゴリーによくあるパターンのPB化が進み、寄せ鍋やキムチなどレギュラー的なフレーバーも例外ではない。売り場確保の一策が個包装タイプでもあるが、今期はあごだしや水出し昆布などだしにこだわった高質タイプで差別化を図る傾向が目立つ。

例えば、Mizkanはトレンドの「焼あごだし鍋つゆ」、キッコーマン食品は帆立・牡蛎などを使った「海鮮キムチ鍋つゆ」、ヤマサ醤油は利尻昆布を水出しした「極鍋昆布だし鍋つゆ」、ダイショーは阿波尾鶏エキス使用の「馳走屋阿波尾鶏だし鍋スープ」などを新発売した。

量販店にとって鍋つゆは冬場の有力商材であるともに、生鮮連動販売によって魚介、精肉、野菜などの販売アップが期待できる。それだけに「鍋つゆ」の価値を維持することが重要であり、大手量販店側にも一般フレーバーのPBと、メーカー側の個食・少人数対応タイプ、あるいはメーカー独自のだし、フレーバーとの棲み分けが必要だという考えが求められる。

〈食品産業新聞2017年11月6日付より〉