永谷園 選択と集中で展開領域を再考、単品管理で生産性向上へ 五十嵐仁新社長が方針説明

永谷園 五十嵐仁新社長
永谷園ホールディングス傘下、永谷園の新社長に就任した五十嵐仁氏はこのほど、食品業界専門紙誌に対して経営方針を説明した。

「これまで加工食品には、売上規模を大きくすれば利益が付いてくる側面があったが、社会の流れ、潮目が変わってきている。手を広げ過ぎず、いくつかの領域は再考する」と五十嵐氏。

展開領域の再考とともに選択と集中を進める。「単品ごとに管理して生産性の向上を図る。商品を改善活動の観点から見直して生産効率を上げ、そのうえで営業活動もしっかりやっていく。製造原価が低くても限界利益に合わないものも出てくるので、生産・営業・マーケティングの3本部で検討し、これから3カ月かけて総合的に判断していきたい。そのうえで、数年計画で成長分野への設備投資を行っていく」とした。選択と集中を進めつつ事業規模と利益拡大を図る考え。

かねてより同社では、新価値創造と新たなサブカテゴリーの創出を目標に掲げてきた。五十嵐氏は、そのいずれにおいても“シーンの提供”をキーワードとして強調。特に、健康寿命を延すことは食品メーカーの使命と位置づけ、健康軸で意味のある食シーンの提供を目指す。

また、今後は既存3本部から物流関係を独立させ、4本部制で「作る、売る、運ぶトータルで売り上げを伸ばしていく」という。「原材料や人件費、物流費の上昇など課題は山ほどあるが、他業界に比べれば食品業界はまだ良い方だと思う」(五十嵐氏)。上杉鷹山の“為せば成る”の精神で、難局を乗り切る。