スープ市場が好調に拡大している。市場規模は2000年から約20年間で1.9倍となり、今年は前年比1.1%増の1240億円の見込み(ポッカサッポロフード&ビバレッジ調べ)。その中で最大構成比は、お湯を入れて作る、いわゆるインスタントスープで約888億円。うち、カップ入りインスタントスープは370億円を見込む。

そのカップ入りスープの単品ランキングで2018年度のトップに立ったのは、ポッカサッポロフード&ビバレッジ「じっくりコトコト こんがりパン コーンポタージュ」だ。同社はカップ入りスープの好調を受け、宮城県にカップ入りスープを製造する仙台工場を新設し、冬場の最盛期に向け8月下旬から稼働している。

「じっくりコトコト こんがりパン」シリーズ開発の背景には、担当者のささいな好奇心が役立ったという。

もともと、同社は2002年にスープを手軽にアレンジできるトッピング具材として、人気キャラクターの“こげぱん”をイメージして商品化した「こげぱんクルトン」を発売。しかし、残念ながらこのトッピング具材はあまり売れなかったという。

ただ、開発担当者がひょんな思いつきで、このクルトンをカップスープに入れてみたところ、おいしいことに気がついた。そこで、よりスープと相性の良さそうなパンに目をつけ、パン生地を2度焼きすることでカリッとした食感と香ばしさを強め、スープによく合う設計にした。また、スープに浸すことでユーザーの満足度を高めることも発見したという。そして、カリカリパンとスープの食べ合わせは、誰もが一度は食べたことがある味わいなのに、カップスープで商品化されていなかったことから、すぐに商品化に踏み切った。

2002年に発売した「じっくりコトコト こんがりパン」シリーズは人気となり、累計販売数は5億個を突破。今回の新工場は同社にとって4つめのスープ工場になるという。同社のカップ入りスープの過去最高の年間販売数量は、約280万ケース(17年度)だったが、仙台工場の新設で年間160万ケースの製造能力が加わり、従来に比べ約1.5倍の商品供給が可能になった。

同社スープ食品事業部の黒柳伸治部長は、同工場でこのほど行われた説明会で、「スープ事業のさらなる成長を目指しており、スープ事業の中でも注力カテゴリーであるカップ入りスープの安定供給体制の構築が急務でした。(供給量が増えることで)今後は、定番品の安定供給とともに、さまざまな挑戦が可能となります」と話した。
仙台工場・佐藤工場長、スープ食品事業部・黒柳部長

仙台工場・佐藤工場長、スープ食品事業部・黒柳部長

そして、「“こんがりパンシリーズ”は、働く女性が増加する中で、女性のランチシーンのお供として、心の安らぎと手軽にお腹を満たす満足感を提供してきました。現代は多忙な方が増えており、手軽さ、楽しさ、ストレスの解放などは、今後も重要な要素になると思いますので、カップ入りスープ市場は伸びると思います」とした。
 
また、工場新設のねらいは供給量拡大だけではないという。グループ全体での東北への貢献として、お酒を飲まない人たちに対しても、スープ事業を通して貢献するなど、生産拠点を構えることにより東北地区で愛されるブランドに育成するねらいだ。

「女性の社会進出とこんがりパンの関係」(ポッカサッポロフード&ビバレッジ資料)

「女性の社会進出とこんがりパンの関係」(ポッカサッポロフード&ビバレッジ資料)

【ポッカサッポロフード&ビバレッジ仙台工場の概要】
▽所在地=宮城県名取市手倉田字八幡310-1サッポロビール(株)仙台工場内
▽従業員数=33名(竣工時)
▽延床面積=3200平方メートル
▽製造品目=カップ入りスープライン数1ライン
▽生産能力=160万ケース/年(1ケース24個入換算)
▽投資額=26億円

ポッカサッポロフード&ビバレッジ仙台工場(宮城県名取市)

ポッカサッポロフード&ビバレッジ仙台工場(宮城県名取市)