米国による鉄鋼製品への追加関税から始まった中国との貿易紛争は、お互いの産品に追加関税をかけるなど、報復合戦の様相を呈してきた。とくに今月4日に中国政府が発表した米国産品(106項目)に対する25%の追加関税計画では、牛肉、豆、トウモロコシ、ソルガム、小麦などが含まれており、今後の動向が注目される。

畜産関係では、すでに中国が米国産豚肉に25%の追加関税を実施したことを受け、米国の食肉大手の株価や豚肉の先物価格は下落した。これに対して牛肉は、米国から中国“本土”向け輸出は昨年6月に解禁されたばかり。ホルモン・フリーなどの厳格な条件が課されているため、解禁以降も月平均で900tと豚肉(同1.4万t)に比べれば輸出規模は大きくないものの、米中貿易紛争が今後どう収束するかは、いまのところ不透明。日本の食肉業界にとっても海外市況の動向などを注視する必要があるだろう。

いままでも気候や自然災害、疾病などで食料貿易に大きな影響が及んだケースは多々あった。だが、今回の事態で改めて感じたことは、イチ政治のさじ加減で、国民生活の根幹である食糧も都合よく国家間紛争のダシに使われる可能性があることだ。今回の中国による牛肉などの追加関税が実施された場合、米国の肉牛産業農業、そして中国の消費者に大きな影響を及ぼすことは間違いないはず。では、誰が得するのだろうか、強いて言えば両国指導者のメンツくらいか。

〈食品産業新聞 2018年4月19日付より〉