中国で広がるアフリカ豚コレラ(ASF)の拡大が収まらない。8月3日に遼寧省で第1例が発生して以降、10月25日現在、11省1区1市で58カ所に上る。2日で1件強の発生率だ。
 
この間、最低11万頭の豚が殺処分されたようだが、実際の処分頭数はそれを上回るとみられる。家畜の移動制限などで物流上の支障が生じているものの、現地の出荷豚価格は比較的落ち着いているもようだ。
 
とはいえ、中国でのASFが収束する見通しはなく、今後も発生拡大で繁殖母豚の殺処分や価格低迷で中小農家の廃業が進むと、中国での豚肉生産にも深刻な影響を及ぼしかねない。世界の豚肉消費量の半数を占める中国は、同国の年間生産量の1割が減少したとしても、米国とEUの年間輸出量に匹敵する規模だ。
 
最近は、海外の養豚業界では「ASFの穴」と呼ばれている。この時期の繁殖母豚のとう汰は、来年の子豚の分娩頭数に影響する。中国国内の豚肉供給に「穴」が開くというわけだ。
 
となると、豚肉の需要量を賄うため輸入量を増やすことが考えられる。米国とは貿易問題を抱えているため、まずはEU産への引き合いが強まるだろう。だが、そのEU諸国でもASFが発生し、輸入できる国は限定されている。日本にとってもEUは重要な豚肉供給地域であり、日本の輸入に影響が及びかねない。今後、中国のASFの“穴”がどこまで広がるのか、日本としても注視する必要があるとえる。
 
〈食品産業新聞 2018年10月29日付より〉