全国の食肉卸売市場や食肉センターで牛・豚枝肉の格付けを行っている公益社団法人日本食肉格付協会によると、2020年年間の牛枝肉格付の結果、肉質の最高ランクとされる5等級に評価された牛枝肉の割合が全体の22.7%となった。和牛(去勢)に至っては50.2%に上った。
 
牛枝肉の格付けは、同じ体重でもより多くの肉を取ることができるかをABCで示す「歩留まり等級」と、脂肪交雑、肉の色沢、肉の締まり・きめ、脂肪の色沢と質の4項目を評価する「肉質等級」の2つの等級が使われる。ここ数年の“肉ブーム”もあり、「A5」「5等級」といった言葉は一般消費者も耳にする機会が増え、最高級牛肉の代名詞と受け止められるようになった。が、すでに国内で生産・流通する和牛の約半数は5等級なのだ。
 
もちろん、昔からそうだったわけではない。1989年の和牛去勢の5等級の比率はたった28・1%に過ぎず、当時はまさにプレミアムな牛肉だった。この間も、肉牛業界は、牛肉の輸入自由化やBSE、口蹄疫、TPPなど多くの荒波に直面した。
 
そうしたなかでも、肉牛業界は、肉質に優れた種雄牛の利用による肉牛の改良や、飼養管理技術向上の努力の甲斐もあり、いまでは世界に冠たる日本産和牛として認知されるようになった。
 
将来、和牛の6〜7割が5等級に格付けされる時代が来るかもしれない。もっとおいしい牛肉を届けたいという、これまでの肉牛農家の努力には頭が下がる思いだ。
 
〈食品産業新聞 2021年2月1日付より〉