〈シグナル〉オンライン応援の熱量

 
新学期が始まって1カ月半、中学や高校で運動系の部活動に所属する子どもたちの多くは、公式戦を迎える時期になる。東京都では、2020年の春大会は中止が相次いだが、今年はコロナウイルスの感染対策を施しながら実施されるケースが多い。ただ、保護者の観戦は禁止が多く、試合経過や結果が気になっても帰宅した子どもから報告を待つしかない。
 
そんな中、筆者の子どもの通う高校では、タブレット端末で撮影して試合をライブ配信しようというアイデアが保護者から出た。普段の練習でテストを重ね、三脚や望遠レンズ購入に向けてカンパを募るなど準備を進め、担当教諭にかけあって撮影を認めてもらった。
 
試合当日は視聴用のYouTubeのアドレスを対戦校の保護者にも送り、みんなで選手の活躍を見られるようにする予定だ。会場での応援はできないが、“チームを盛り上げたい”“選手を応援したい”という思いはチームに伝わるだろう。
 
最近の業務では、オンライン発表会がほぼ毎日あり、発表者も取材する記者も慣れてきたように思う。ただ、操作には慣れたものの、受け身の姿勢で参加してしまうケースがあると聞く。
 
2020年春の頃のような、不慣れな道具を使いながらも、発表会になんとか参加して、話を聞きたいという気持ちが薄れているようだ。コロナ禍の厳しい状況でも、どうにかしてネタを取りたいと思っていたオンライン発表会が始まったころの初心を忘れず取り組みたい。
 
〈食品産業新聞 2021年5月20日付より〉