東京都はこのほど、食肉による食中毒予防に向けた効果的な情報発信の手法を検討することを決めた。都はポスターやリーフレット、ホームページで肉の生食による食中毒予防を啓もうしてきたが、若者など幅広い層に関心を持ってもらうよう、SNSや動画サイト、学校での食育など、より踏み込んだ形での普及啓発に力を入れていく方針だ。
 
背景には消費者になかなか進まない食肉の安全性に関する理解度がある。食肉に関連した食中毒といえば腸管出血性大腸菌O157が思い浮かぶが、近年、全国の細菌性食中毒の年間発生件数の6〜7割がカンピロバクターを要因とするもので、多くの原因が、生・加熱不足の鶏肉・鶏内蔵の提供(推定含む)だったという。
 
問題は、食中毒に関する消費者の意識は何か事故が起きるたびに高まるものの、時間が経つと薄れてしまう点だ。日本食肉消費総合センターの「食肉に関する意識調査」(2016年度)でも、レバーの生食禁止や食中毒リスクに関する知識の認知度は、年々低下する傾向にあることが分かっている。飲食店など事業者も「新鮮=生食可能、高級」といった誤解が一部にあることも根底にあるようようだ。
 
過去にも食肉に関する食中毒事故が何度も発生したが、新たな規制や風評被害など業界全体を巻き込んだ事態に発展したケースは多い。妙手はない。あらゆる手段を通じて分かりやすい情報発信を続ける地道な作業が、食中毒防止の第一歩だ。
 
〈食品産業新聞 2021年8月2日付より〉