発売は05年春。新工場(冨士乳業)の新しい設備で誕生し、大人向けマルチパックのバーアイスの市場を切り拓いた。それまでマルチパックは子供向け、家族向け商品が大半で、大人が自分用に買う商品は限られていた。300円が主流の中、大人が満足できる商品設計で350円(当時)で発売し、地道な試食販売で認知を広げ、ユーザーを拡大して、大人アイスを定着、単価アップによる市場拡大にも貢献した。大人バーアイス(量産型)の先駆者。

ユーザーは当初女性が中心で、男性の取り込みを図るべく、09年製造能力を倍増し、CVS限定で1本入り(当時120円)を販売開始した。期間限定品や180円の付加価値タイプ、500円マルチと品揃えを拡充し、11年、16年にも設備増強を実施、16年度売り上げは初年度比で約10倍の規模となり、バーアイスカテゴリー売上金額No.1に成長した。

今年はこれまでの寺尾聰さんのテレビCMから竹内結子さんに一新、パルムの特長を表現した「はむっと、とろんと、うっとりと」をキーメッセージに独自価値の発信に注力している。毎年恒例の「チョコ付け体験」はアイスを2種類に増やし、新たなファン獲得に余念がない。
森永乳業 研究本部食品総合研究所第3開発部部長 岩井大氏

森永乳業 研究本部食品総合研究所第3開発部部長 岩井大氏

〈アイスとチョコが同時に口どけ〉

アイスとチョコの技術を結集し、大人が満足するアイスを新たに生み出すことを使命に開発に着手しました。

当初は「ピノ」のアイスとチョコが一緒に混ざり合って融けていく技術と、「MOW」の濃厚でなめらかなアイスの技術を応用しました。チーズを使ってコクを出したり、バニラの風味がしっかり香るように工夫したり、味や食感など、1年半試作を繰り返し、パルムのコク、口どけ、なめらかさを実現しました。

チョココーティングで苦労したのは、パリッと割れずにしっとりとして、生チョコのような噛みだしを実現すること。厳選した植物油脂を配合し、あの食感を生みだしました。

一方で、ひと口目からバニラとチョコが一緒に味わえ、チョコに負けずに後味までアイスのコクが続くために、バニラとチョコのバランスに気を配っています。

製造ラインでの苦労は、海外の製造機械を日本用にアレンジするための海外技術者を説得することでした。海外技術者にとってパルムは未知のアイスであり、「こんなの売れるわけがない」と言われましたが、繊細な舌をもつ日本人が満足するアイスを作るため、設備を変更し、製造条件を変更し、納得するまで改良を続けました。

現在は大人向けアイスとして定着し売り上げも伸びていますが、まだ拡大できると思っています。

今後はアイスクリームと言えばパルム、と呼ばれるくらいまでブランドを育成したいです。

〈食品産業新聞2017年12月4日付より〉