家庭用油主要3社のオリーブ油商品の展開動向は、従来から取り組んでいる「アヒージョ」などオリーブ油が欠かせないメニューや、麺・鍋などのアレンジメニューの提案に加えて、かける・つけるといった生食用途の広がりを加速させる形で、テレビCMの投入や、それと連動した店頭活動とSNSなどによる情報発信、体験イベントの開催など、多岐にわたる企画を積極的に行っている。
 
また、使いやすくて鮮度を維持する密封ボトルの商品化も進めている。他方で、オリーブ油独特の風味や辛味・苦味が苦手という消費者も少なくないことから、マイルドな風味のピュアタイプ商品の品ぞろえを強化することで、ライトユーザー層の取り込みも図っている。
オリーブオイルの輸入量と単価の推移

〈CMと連動した店頭活動展開、鮮度ボトルなどラインアップ強化/Jオイルミルズ〉
J―オイルミルズは、家庭用オリーブ油市場の活性化に向けて、タレントの大野智さんを起用した「AJINOMOTOオリーブオイルEV(エクストラバージン)」のテレビCMを7月から放映すると共に、テレビCMと連動した店頭活動やウェブ・SNSによる情報発信の強化に加え、ピュアタイプの提案による子育て世代へのトライアル促進など、多面的な取り組みを展開している。
 
昨春放映した大野智さんの「AJINOMOTOオリーブオイルEV」CMでは、納豆やみそ汁といった和食にも「ひとかけ」する内容が評判を呼び、さらにCMと連動した店頭活動が奏功する形で、同商品の販売量は昨年度、20%を超える伸びを示した。
 
同社では「従来はアヒージョなど用途の拡大を通じて、ヘビーユーザーの購入促進を図る『奥行き』の取り組みがメーンだったが、さらなる市場拡大を見据え、新規ユーザーを呼び込む『間口』を広げる取り組みとして、大野智さんを起用したテレビCMで、オリーブ油をもっと簡単に、もっと手軽に使っていただきたい、ということを訴えた。SNSでの広がりも含めて予想以上の評判を呼び、トライアル獲得でもかなりの手応えを得られた」と、評価する。
 
7月10日から放映した新CMでは、大野さんが一般家庭を訪れて、食卓の卵かけごはんや冷やしうどんにオリーブ油を「ひとかけ」して、「ぐっとおいしい」メニューに仕上げるという内容だ。同社は新CMの狙いについて「新CMでは『ひとかけ』で具体的なメニューを完成させる見せ方をしている。約2週間放映したが、程なく『AJINOMOTOオリーブオイルEV』の販売は2ケタ増の伸びを示しており、CM効果への期待値は大きい。8月からは番組提供枠でCMを放映すると共に、CMと連動したメニューリーフレットを活用して店頭での試食提案を行っているほか、同社公式ツイッターでのオリーブ油関連情報の発信などSNSも活用している。
 
合わせて、店頭・イベントでのオリーブ油の試食調査により、ライトユーザーの多い子育て世代はEVよりもマイルドな風味のピュアタイプを支持する声が強かったことを踏まえ、ピュアタイプ「AJINOMOTOオリーブオイル」でたっぷり使える600gボトルを今春発売。具体的なオリーブ油の使い方を示すことで、ユーザーの間口を広げたいとしている。
 
〈生食用途の提案奏功、「かけるオイル」イベントで活性化図る/日清オイリオグループ〉
日清オイリオグループは家庭用オリーブ油市場で、フルーティで豊潤な味わいが特長の「BOSCO(ボスコ)」ブランドと、手軽にオリーブ油を楽しめる「日清」ブランド(やさし~く香るエキストラバージンオリーブオイル、さらっと軽~いオリーブオイル)を中心に展開している。
 
17年度はさまざまなアレンジメニューや、「BOSCO」エキストラバージンオリーブオイルなどフレッシュキープボトル「鮮度のオイル」シリーズを中心にした生食用途の提案、人気キャラクターのスヌーピーをデザインしたフレッシュキープボトルの発売など、多岐にわたる施策が奏功し、前年を上回る実績を上げた。
 
同社では「イタリア、スペインといった主産地の不作による現地相場高により、昨年4月に『BOSCO』ブランド、同10月には『日清』ブランドで価格改定を行ったが、ヘビー層からライト層まで消費者の嗜好に応じた、さまざまな商品のラインアップによる『間口と奥行き』を広げる取り組みが成果を上げている。主力の『BOSCO』ブランドが好調なのに加え、『日清』ブランドもトライアル促進の取り組みなどを通じて、着実に伸びている」としている。
 
18年度も同社では家庭用油の生食需要が拡大傾向にあることを追い風に、カゴメとの共同販促や、「かけるオイル」体験イベント企画などを通じて、さらなるオリーブ油市場の活性化に努める方針だ。
 
商品面では、春の新商品として「日清やさし~く香るエキストラバージンオリーブオイル」で、おいしいうちに使い切れる小容量145g瓶を発売。7月からは、「BOSCO」エキストラバージンオリーブオイルや「日清アマニ油」など4品で、好評のスヌーピーデザインのフレッシュキープボトルを数量限定で発売した。メニュー提案では、オリーブ油とトマトとの相性の良さを生かした、カゴメとの共同販促が成果を上げているほか、夏向けにアレンジした麺メニューを提案している。
 
〈戦略的な販路政策で手応え、汎用性高いピュアタイプを発売/昭和産業〉
昭和産業は17年度を「オリーブ油事業元年」と位置付け、充てんラインの内製化による増産体制を図ると共に、「エクストラバージンオリーブオイル(300g、600g)」の積極的な販売拡大に努めた結果、当初計画を超える実績を上げたとしている。
 
同社では「17年度の販売量は、前年比で約5倍に伸ばすことができた。戦略的な販路政策などにより、上期の時点で十分な手応えを得られた。さらに下期にかけて加速し、今年1月の時点で年間販売計画を達成した。また、ギフトも昨年は中元期に3000円の商品を新発売、歳暮期には2000円、5000円の商品を追加したが、いずれも良好な販売実績を上げられ、市場に一定のインパクトを与えることができたと考えている」と、元年にふさわしい実績を上げられたとしている。
 
18年度の取り組みでは、「販売量を前年比2倍に拡大することを目指して取り組んでいるが、4~6月では前年比約3倍と伸ばしており、目標は達成できるものと考えている。今後も戦略的に販路を広げていく」との方針を示している。さらに「これまでオリーブ油は2アイテムの展開だったが、秋冬の新商品として大容量タイプ『オリーブオイル生活(950g)』を9月1日に発売する。これにより汎用性の高いピュアタイプの市場に参入し、間口を広げていきたい。また、オリーブ油カテゴリーでは今後も積極的に施策を展開していきたいと考えており、少しずつアイテムも拡充し、フルラインの品ぞろえにしたい」との考えを示す。
 
新商品「オリーブオイル生活」は、オリーブ油特有の苦味や辛味を抑え、くせの無いあっさりとした軽い味わいが特長で、揚げ物や焼き物のほか、和食や生食などさまざまな料理に使うことができる。これにより、オリーブ油の風味に苦手イメージを持つ消費者や、使い方がよく分からないという消費者に、トライアルを促しオリーブ油購入者層の間口を広げることが狙い。