<大豆ミートビジネス最前線> ソーファ・デリ&フーズ、ベジタリアン向けカフェの経験を生かし業務用ベジメニュー食材の開発へ

ソーファ・デリ&フーズ 大豆ハム「ベジハム ボンレス」
菜食専門の食品開発メーカーであるソーファ・デリ&フーズ創業者の木村重一社長は元々、CM演出の仕事を行っていた。1989年9月にベジタリアンとなったことを機に、同社の大半の商品開発を担う夫人が料理に目覚め、2001年から2006年までの5年間、肉や魚を使わないベジタリアン向けのカフェ「ベジカフェ」をオープンした。3年目からは繁盛店となる。既存の業務用ベジタリアン食材は使わず、店内で一から仕込んでいた。業務用のベジタリアン食材の開発が必要と考え、2012年1月に同社を設立するに至った。
ソーファ・デリ&フーズ創業者・木村重一社長

ソーファ・デリ&フーズ創業者・木村重一社長

テナント入居先のビルの移転により「ベジカフェ」を閉店後、2007年から2009年までの期間、IKEAが店舗で提供していたベジミート使用のハンバーガーやカツレツ、ロールキャベツなどの総菜メニューを供給していた。IKEAのフード部門トップがフードコートメニューのテコ入れのためベジミートを探す中で、「日本の中で一番おいしい」とお墨付きをもらったという。また、東急ホテルグループなどのコンサルティングも手掛けており、最近だと2019年5月に、横浜ベイホテル東急の「オリジナルベジタリアン&ヴィーガン料理」の提供に携わった。
 
〈余分なものをそぎ落とすとおいしくなる、食材は希望に応じて開発可能〉
業務用商品は、食品添加物と化学調味料は使わない大豆ハム「ベジハム」シリーズでスタートした。ボンレスとスライスをそろえる。レトルトとして、ぶり照り風味、タンドリー風味、しゃけ風味のベジハムもラインアップしており、いずれもフライパンで簡単に調理が可能だ。ラード・白砂糖・食品添加物は不使用の特製パン粉とベジハムのカツ「ベジカツ」のスティックタイプは、居酒屋で女性に人気だという。ハンバーガー用の四角い「ベジカツ」も販売している。

「ベジカツ」スティックタイプ

「ベジカツ」スティックタイプ

「ベジミート(乾燥大豆)」シリーズはブロック、薄切り、ミンチをそろえる。ブロックは唐揚げや酢豚など、薄切りは生姜焼きなど、ミンチはミートソースや麻婆豆腐やハンバーグ系の挽肉として使える。自社商品のおいしさには自信を持っており、「余分なものをそぎ落とすとおいしくなる。食品添加物、化学調味料、白砂糖は使わず、にら、ねぎなどの五葷も使用しない」のがこだわりだ。
 
業務用商品の開発は、5年間のベジカフェでの経験が大きかったという。ランチタイムのみの営業で1日180人が来店し、弁当も160食販売していた。「周辺の外資系企業のベジタリアンのお客が多く、近隣のホテルも宿泊するVIP客に安心して当店を紹介してくれていた」と、その人気の高さが伺える。
 
食材は希望に応じて開発可能だ。現在はレストランチェーンからの依頼で、工場用レシピのミートソースを開発中だ。あるメーカーからは総菜を共同開発したいと依頼が寄せられている。
 
同社は2018年6月に、こころワクワク(W)、からだイキイキ(I)、たましいキラキラ(K)な生活をサポートする一般社団法人WIK‐japan(ウィキジャパン)を創設した。3つの活動プロジェクトがあり、1つはホテルやレストランでのグランドメニューとしてベジメニューの導入、2つ目は「ベジカフェ」の全国展開、3つ目は中小企業の社員の健康を守る専門家の育成だ。グランドメニューにすることでクオリティーが高まり、コチニール色素やゼラチンなどの動物性食材をうっかり使用することも防げるという。
 
商品開発はソーファ・デリ&フーズで行い、レストランの料理長やスーパーのバイヤーに向けたセミナーの実施など、コンサルティング活動については同法人を中心に行っていく考えだ。
 
〈大豆油糧日報2020年2月17日付〉