代替肉市場で、破竹の勢いを見せている熊本発の植物肉ベンチャー、DAIZ。ニチレイ、味の素、丸紅などから資金調達を受け、国内生産体制の強化と海外市場への参入を加速させている。

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大手企業を惹きつける魅力は、DAIZが開発した「ミラクルミート」の品質の高さだ。これまでの植物肉は、大豆搾油後の残渣物である脱脂加工大豆を主原料としていたが、DAIZの「ミラクルミート」は原料に丸大豆を使用し、さらにオレイン酸リッチ大豆を使用することで、大豆特有の臭みを無くし、異風味を低減することができる。

味や機能性を自在にコントロールするコア技術「落合式ハイプレッシャー法」で大豆を発芽させ、うま味や栄養価を増大させ、その発芽大豆をエクストルーダー(押出成形機)にかけると、膨化成形技術により、肉のような弾力と食感を再現できる。

この技術を開発した立役者が、取締役研究開発部長兼生産管理部長の落合孝次氏だ。
DAIZ 落合取締役

DAIZ 落合取締役

 
落合氏は大腸がんを患った経験から、本当に体に良い食品をフードテックは作らなければならないと強く感じ、安全でおいしくて、さらに栄養がある食品の開発に取り組み始める。
 
また、抗がん剤を8回受けた経験から、その抗がん剤が実は植物が作っているアルカノイドであることを知り、「そこで、われわれも、植物が作るアルカノイドを発芽技術で作れないかと考えた。世の中には、34万種類のタネがある。その中から効き目の優れたタネを探してきて、それをがんの治療に役立てれば、副作用が少なくて、早く治る薬ができるのではないか」と考えた。
 
「生かされた意味を考え、2018年に設立されたDAIZでは、本格的なフードテック、本格的な創薬ベンチャー、この2本立てで走っていこうと決意した」という。
 
〈大豆の芽が出る環境を変えると味が変わる、鶏肉、牛肉などの味も再現可能〉
フードテックでは、大豆のコアテクノロジーとして、発芽の技術を使ったプラットフォームを事業化してくことになった。
 
「大豆の芽が出る環境、つまり、空気と温度と水のバランスを変えると、アミノ酸の組成が変わるので、タネの味が変わる。味が変わるということは鶏肉みたいな味の発芽大豆はできないか。牛肉みたいな味の発芽大豆はできないかと考えられる。この組み合わせは5,000通りではきかないので、それをひとつずつ試して、いろいろな味の発芽大豆を作って、それを肉の原料にしていく。卵のような味、牛乳のような栄養素性にすれば、豆乳ではなく、牛乳の味になる」とし、発芽大豆の可能性の大きさを指摘する。

空気と温度と水のバランスを変えると、アミノ酸の組成が変わる(イメージ)

空気と温度と水のバランスを変えると、アミノ酸の組成が変わる(イメージ)

 
「大豆を蒸したり、煮たりして、麴菌を付けるとみそになるが、発芽大豆に対して同様なことを行ってもみそにはならない。その理由は、イソフラボンを核とした新しい化合物が約3万種類誘導され、麹菌を殺しに行くからだ。麹菌を殺すということは、がん細胞を殺すということと同じ。大豆以外にもいろいろなタネを使って、このストレスをかけてやることで薬を開発していくことができる」とし、DAIZは現在、代替肉としての評価が高まり注目されているが、今後は創薬分野での飛躍も期待できる。
 
〈落合孝次氏プロフィール〉
1967年4月28日生まれ。落合式ハイプレッシャー法の生みの親。2002年に大手食品会社を経て米国にてバイオベンチャーを起業。その後、日本に帰国し、本格的にDAIZの事業の基礎になる研究開発を行う。現在、DAIZ取締役・最高技術責任者。
 
〈大豆油糧日報2021年8月6日付〉