――上期を振り返って

大変厳しかった。急激な原料高騰によるコスト上昇に加え、コロナ禍の社会情勢による需要減退があり、思うような収益レベルに到達できなかった。家庭用の食用油は引き続き堅調に推移している中、価格改定の取り組みや、昨年の内需高まりの裏年ということもあり、市場全体は物量と金額の両面で前年を割り込む要因となった。

ただ、価格改定が進むにつれ、市場でも変化がみられる。9月単月は金額でようやく前年を上回り始めた。価格改定が浸透し、市場売価が上がっている。キャノーラ油などの汎用油で特売回数が減った影響により物量が落ちてはいるものの、値頃感がようやく定着し、消費者もその価格での購入を受け入れ始めた。通期の市場全体の金額規模は前年を上回る可能性がある。

業務用は、コロナ禍による外出自粛、緊急事態宣言の度重なる延長で飲食店の営業自粛が長期におよび、特に外食向けのパッケージ品の販売は大変苦戦した。当社が掲げている「ニーズ協働発掘型営業」を進めることで、長持ち機能を付与した機能性のフライ油や、「日清炊飯油」といった付加価値型商品の販売は伸長した。また、加工メーカー向けの販売量は前年を上回った。

業務用全体では、コストに見合った適正価格での販売によって、物量・金額とも前年を上回った。

――価格改定の進捗状況は

家庭用は、4月の20円/kg、6月の30円/kgの改定はほぼ完了し、販売価格に転嫁できている。8月からの50円/kgについても流通各社に理解され、徐々に改定が進んでいる。原料状況やコスト環境を丁寧に説明することで、8月からの50円/kgが未改定の流通との商談、11月からの30円/kgの改定に向けた商談を進めている。9月時点で代表商品「日清キャノーラ油」の平均売価は改定前よりも60円/kg程度上がり、10月には80円/kg程度上昇している。業務用は、4月の斗缶300円、6月の斗缶500円の改定は、少し時間を要したものの7月頭にはほぼ完了した。8月からの斗缶800円の改定も、少し時間を要しているが概ね理解を得られ、11月からの斗缶500円に向けた商談を進めている。11月からの改定はまだまだ取り組みが必要だ。

〈道半ばの価格改定に注力、新たに「味付けオイル」のカテゴリ創る〉
――下期に向けての重点施策は


家庭用の汎用油は、販促を含めた商談を進めて露出を高めていき、成長を続けているサプリ油、ごま油、こめ油といった付加価値油を拡大し、トータルで提案することで売上を作っていきたい。加えて、新たなカテゴリの創造に取り組んでいく。

振り返ると、家庭用食用油の成長の歴史は、カテゴリを創ってきた歴史だ。かつて家庭用の食用油はサラダ油とごま油しかなかったが、90年代に当社がイタリアで「BOSCO」ブランドをOEM生産して日本に輸入し、そこからオリーブ油が世間に普及し始めた。

同じ90年代に国内初のキャノーラ油を発売したのも当社で、いまや汎用油の代表となっている。最近では油の持つ健康性に着目し、アマニ油、えごま油などのサプリ的オイルを普及させていった。

油の使い方も新たに開拓した。揚げる、炒めるが中心であった油を、出来上がった料理にかける、何かに入れて飲むなど、全く新しい使い方を提案した。当社は今後も新しいカテゴリの創造に取り組んでいく。

これから創っていきたいカテゴリは「味付けオイル」だ。油に味や香りを付けている油のことで、炒める、かけるなど使い方も幅広い。将来的には、油を代表的な基礎調味料の「さしすせそ」に次ぐポジションに高めていくという大きな目標を持って、「味付けオイル」というカテゴリ創りに励んでいきたい。

業務用は課題解決の質を向上し、ユーザーや卸からの信頼を獲得するための開発力、提案力、総合力の向上を目指していく。具体的には、「日清スーパー長持ち油」、「日清吸油が少ない長持ち油」など、揚げ物調理の課題解決型の商品ラインアップを強化して拡販を進めるとともに、「日清オリーブパスタオイル」など、テイクアウト時の品質向上に寄与する商品の展開を強化していく。コスト増の中でユーザーのコストセーブに寄与する製品や課題解決型の商品の拡販を進めていきたい。

――通期の着地に向けて

これから先もコスト増は続いていく可能性が高い。構造的な問題が要因で原料コストが上がっているため、簡単には元に戻らないかもしれない。そうなるとコストに見合った販売が必要で、まだまだ道半ばである価格格改定への注力が、一番に取り組むべきことだ。

〈大豆油糧日報2021年11月29日付〉