ニップン 植物性たん白素材「ソイルプロ」、フードテックで肉のような弾力感、クセのない味わいに評価〈大豆が拓く食の可能性〉

ニップン 植物性たん白素材「ソイルプロ」
ニップンは、植物性たん白質摂取の重要性の認知や環境意識の高まりを受け、フードテックにより実現した肉のような弾力が強みの植物たん白素材「ソイルプロ」を展開している。2020年10月の上市以来、そのクセのない味わいが評価され、肉や米の代替として採用が広がっている。

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ニップンは2021年1月、「第2の創業」として、社名を従来の「日本製粉(株)」から「(株)ニップン」へ変更し、製粉を基盤事業としながらも食品・中食など事業の多角化を進め、名実ともに「総合食品企業」としての持続的成長を目指している。

また、それより以前から新たな柱となる事業を築くため「事業開発部」を設置し、大豆や野菜の商品開発に取り組む中で、「ソイルプロ」が誕生したという。同社事業開発部の峰澤独主幹は、「『ソイルプロ』の開発にあたっては、食べやすく我慢せずに続けられ、リピーターになって頂けることにこだわった」と話す。

〈肉や米の代替として幅広いメニューに対応可能、新規形状も検討中〉
原料から製法までこだわったそぼろ状の植物性たん白素材「ソイルプロ」は、一般的な大豆ミート製品に使用される脱脂大豆ではなく、豆乳を原料としており、大豆特有のにおいが少なくクセのない味わいが特徴だ。加えて、豆腐加工技術を応用した、大豆たん白の凝固力を強める独自開発の加工法により、たん白質のつながりを強化し、肉のような弾力感を実現している。また、「顕微鏡下で見ると、内面は密な気泡が含まれており、これにより食感が固くなりすぎない」という。

大豆特有のにおいが少ないため、だしを使用したしょうゆ味のそぼろやサラダのトッピングなどを含めた幅広いメニューに対応できる。豚ひき肉と比較し、カロリー(100g当たり豚ひき肉212kcal、ソイルプロ163kcal)、脂質(同15.1g、同6.7g)は抑えられ、コレステロールはカットできる一方、高たん白(18.6g、20.3g)であるほか、食物繊維やミネラル分なども摂取することができる。

肉の代替以外にも、クセがない「ソイルプロ」ならではの活用法として、白米の3分の1量を「ソイルプロ」で代替すると、白米のみと比較し、たん白質量は3倍となり、糖質は3分の1カットできる。

業務用のラインアップは、水戻しや火通しの手間がかからない素材タイプ(チルド、荷姿1kg×10)、ヴィーガン認証取得の冷凍総菜「植物うまれシリーズ」(しょうゆそぼろ・ガパオ・キーマカレー・豆腐ミートのボロネーゼ)。素材タイプは、より豆腐由来の健康感が訴求できる白色タイプ、ビーフのような色合いが出せる茶色タイプをそろえる。

峰澤主幹は「外食の店内調理やスーパーバックヤードのお弁当、加工食品メーカーの肉代替具材、保育園の給食にも採用されている。また、油分が少なく酸化臭がしないため、官能評価も良好だと評価され、パックご飯の原料としても使用されている」とし、さまざまな業態・製品で利用が広がっているという。

家庭用は、冷凍食品「豆腐から作ったお肉シリーズ」(ボロネーゼ、キーマカレー)を発売中で、「バイヤーの方の評価は高く、『肉を使っていないとは思えない』といった声を頂く」という。

家庭用冷凍食品「豆腐から作ったお肉シリーズ」(ボロネーゼ)

家庭用冷凍食品「豆腐から作ったお肉シリーズ」(ボロネーゼ)

2品とも、家庭用冷凍食品市場の中では早いうちからベジプロジェクトジャパンのヴィーガン認証を取得しており、「今後、ヴィーガンの方が増える可能性や、将来的なインバウンド需要の回復も見込み、プラントベースに取り組む上で、同認証取得は必要だと思っている。市場と共に成長していきたい」と話す。
 
今後の展開については、「ソイルプロ」に限らず、冷凍野菜や野菜パウダー・ペーストといった商品なども積極展開し、プラントベースを広げていく考えだ。また、「ソイルプロ」の弾力を活かした新規形状の商品も検討中だ。
 
〈大豆油糧日報2022年3月23日付〉