SDGsが浸透してくる中、環境負荷軽減やサステナビリティと相性の良い大豆ミートの存在感が高まっている。

その大豆ミートを30年以上前から製造販売してきた新日鐵釜石製鐵所から指名を受け、2008年に同社の事業を継承し、新たにアジテック・ファインフーズ(岩手県釜石市)を設立し、社長に就任したのが、中村好雄現会長だ。

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アジテック・ファインフーズ 中村好雄取締役会長

アジテック・ファインフーズ 中村好雄取締役会長

大手電機メーカーを経て、家業の業務用食材卸の中村商会を継ぎ、製造部門を担うアジテックの分社化を成功させ、東北・関東地区の同業者6社で共同仕入会社シー・エム・エフを組織してきた経歴が目に留まったためだ。 

新日鉄からは発芽玄米と大豆たん白の2つの工場を引き継いだ。大豆ミートは当時ほとんど知られていなかったが、巨大な素食マーケットがある台湾に海上コンテナで輸出していた。最盛期には100人以上の従業員が3交代制で製造し、20億円規模で販売していたというが、事業を引き継いだ時点で販売量は大きく減っていた。台湾国内で作り始めていたためで、「台湾では当社の3分の1の価格で売られていた」と振り返る。 

そこで、「国内需要を喚起しようと思い、大豆ミートの価値を分かってもらうため、ベジタリアンを狙った。マーケットが小さいので非常に苦戦してきた」というが、地道な取り組みが実を結び、前々期(9月期)から上り調子となり、前期の売上高は前年比36%増を達成した。「苦節13年でようやく採算ラインに乗ってきた」と語る。成功要因は国産大豆に特化し、グレードを維持したことが市場で評価された。18年には補助金を受け、大豆ミート工場を新設した。 

〈国産大豆ミートを3温度帯で展開、冷凍大判肉タイプの「ファインミート」新発売〉
強みはまだある。冷凍コンテナで台湾向けに輸出していたので、冷凍設備を備えており、発芽玄米の工場では、パックご飯などレトルトの商材も取り扱っている。

ドライタイプは当然用意しており、「レトルト、冷凍、ドライの3温度帯の設備を持っているのが強みで、これをいかに使って商品開発をしていくかだと思っている」と構想を練る。全都道府県に採用実績を持つ学校給食向けはドライタイプを、外食店向けは店舗で解凍調理できるタイプといったように、使い分けが可能だ。 

2021年12月に、大判ステーキ肉タイプの冷凍大豆ミート「ファインミート」の販売を開始した。2月に商標を取得し、今後は既存の乾燥大豆ミートのミンチ、フィレ、ブロック3タイプとともに、「ファインミート」ブランドで拡販を目指す。県産大豆を使って大豆ミートを作って欲しいというオーダーに対応できるのも強みだ。「国産大豆を使うこだわりがある。素材だけでなく、ワンストップで味付けまでできることも強みになる」と強調する。 

「米国の場合、10年前のベジタリアンやフレキシタリアンは3億人の人口のうち1%だったが、今では10%の3,000万人と10倍になっている。日本にも昔から精進料理があり、受け入れられる素地はある」と今後の市場拡大に期待する。 

〈中村好雄取締役会長プロフィール〉
なかむら・よしお 1940年5月生まれ。1964年東北大学経済学部卒業、同年4月に日立製作所入社。1967年10月中村商会に入社、1972年8月社長就任。1996年にアジテック社長就任、2000年4月シー・エム・エフ理事長就任、現在に至る。2008年2月にアジテック・ファインフーズ設立、社長に就任。2015年11月に同社代表取締役会長、2018年11月に中村商会、アジテック取締役会長に就任、現在に至る。2012年5月に旭日小綬章受賞。

〈大豆油糧日報2022年4月14日付〉