日清オイリオグループ中計の経営目標、成長性など4つのフレームワーク推進で達成を目指す

日清オイリオグループの久野貴久社長
日清オイリオグループは5月19日、本社で久野貴久社長が中期経営計画「ValueUP+」の進捗状況について説明を行った。

グループビジョン2030年における24年度の目標値は、21年度実績を踏まえて、各重点領域のCSV(共通価値の創造)目標値を一部上方修正した。また、すでに発表の通り、原材料価格の大幅な上昇とそれに見合った販売価格改定と、価値創造の実現による売上高の増加を反映し、24年度の経営目標のうち、売上高は4000億円から5400億円に上方修正している。

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目標実現に向けては、成長性、積極投資、持続性、効率性の4つのフレームワークで推進していく。久野社長は、「4つのフレームワークによるKPI(重要業績評価指標)をしっかりとやり切っていくこと、CSVの達成による価値創造、効率性の追求の中での在庫圧縮やコストダウンをやり遂げるかが目標達成に繋がる道と考えている」と語った。

4つのフレームワークのうち、成長性の視点では、販売チャネル別の売上高の拡大に取り組む。21年度の進捗率の実績は、BtoCは50億円増に対し30%で、22年度の計画は70%とした。BtoBは550億円増に対し25%、22年度計画は45%とした。BtoBtoCは、100億円増に対し10%、22年度計画は25%、そのうちMCT(中鎖脂肪酸100%の油)関連は計画通りの40%程度の進捗を見込んでいる。

〈中計における成長性の施策結実による利益水準の向上が利益率改善の最大の寄与に〉
22年度の具体的な施策では、BtoCである国内ホームユースは、汎用油、付加価値油の原料油価の高騰に伴う適正な販売価格を一層形成していく。その中で「かけるオイル」の定着や、「味つけオイル」の市場育成による付加価値商品の拡販、ヘルシーオフ、ナチュメイド、こめ油の販売強化を通じたクッキングオイルの構造変革に取り組んでいく。

BtoBである国内の業務用・加工用・加工油脂の主な施策は、原料価格の高騰に伴う適正な販売価格の形成に加え、業務用は変化への対応とニーズ協働発掘型営業の推進により、課題解決の質向上に取り組む。

加工用・加工油脂は、顧客製品の付加価値化に向けたソリューション提案や、顧客との共創による価値創出の積極推進を行っていく。チョコレート油脂は、油脂原料の産地分散や代替原料による調達・生産の安定性確保に取り組む。生産能力の増強投資は2023年度末の完成に向けて着実に実行していく。北米や東南アジア市場の拡大を見据えた拠点の強化と拡大では、タイに駐在事務所を出店することを決めたとした。

BtoBtoCの機能素材・食品、MCTにおいては、BtoB、BtoCの相互連携を強化し、MCTブランド価値を醸成、事業拡大をけん引していく。加工食品メーカーへのアプローチや流通へのフォローにより、MCT使用量は21年度比で5倍強の大幅拡大を目指す。

効率性については、ROIC(投下資本利益率)を指標として取り入れ、2024年度計画を4.6%とした。20年度の4.3%、21年度の3.6%、22年度計画は3.6%で推移しているが、「24年に向けて、中計における成長性の施策の結実による利益水準の向上が利益率の改善の最大の寄与と考えている」とした。

持続性では、サプライチェーンにおいて、マレーシアの認証基準である「MSPO(マレーシア持続可能なパーム油)」の仕組みの確立に向けて、認証油のテスト購入などのサポート実施をさらに進める。

積極投資では、売上拡大に向けて、共創の仕掛けに約100億円を投資する。インキュベーション(起業や事業の創出をサポートするサービス・活動)機能の拡充、機能性マーケティングの展開を予定している。生産能力の拡充に約100億円を投資する。ISF社の生産能力増強や、国内での付加価値商品の拡販に向けた充填ラインの拡充などの設備投資を計画している。また、基盤強化ではDX投資として約50億円を投資する。名古屋工場のスマートファクトリー化をまずは進め、国内4工場とISF社でも進めていく考えだ。

〈大豆油糧日報2022年5月23日付〉