【米穀VIEW944】漂流する米政策 Ⅴ 第3次安倍内閣「信任」24

髙木勇樹氏に訊く① 戸別所得補償と通底する飼料用米「バラマキ」

毎度お馴染み「ご意見番」の一人である農林水産アナリストの髙木勇樹氏(元・農林水産事務次官、元・農林漁業金融公庫総裁、現・日本プロ農業総合支援機構理事長=写真)に訊くシリーズ。今回は、「制度としての飼料用米」を入り口に、今後の主食用米需給、平成30年産からの生産調整見直し、TPP「問題」、今夏の参院選など、幅広い話題をめぐってインタビューした。
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–史上初めて主食用米の生産調整を達成し、まんまと米価引き上げに成功した原動力となったのが飼料用米でした。「2025(平成37)年、飼料用米110万t」という食料・農業・農村基本計画も夢物語ではなくなってきた感があります。制度としての飼料用米をどのようにご覧になっていますか。
髙木
以前から私は、日本の穀物政策は米偏重、それも主食用米偏重であって、例えば畜産用の飼料穀物などを全く考慮に入れていない、したがって「総合穀物政策」が必要と主張してきた。そうした私の基本的な立場から言えば、また「需要に見合った米づくり」の意味からも、飼料用米そのものを否定する気は全くない。これはまず最初に明確にしておく。しかし、だからといって問題がないとも思っていない。先ほど言ったように「需要に見合った米づくり」をめざすのであれば、畜産側から発生してくる需要に対応した飼料用米づくりになっているか、この点に疑問を感じている。また総合穀物政策の視点、モノサシからは、一部あっている。では他の穀物について、飼料用米と同じように見ているか。つまり穀物全体を、日本の今後の食生活も含め、米を扱う全ての業界の需要との関連で見る総合的な政策になっているか、という切り口で見ると、まだまだ問題が多いと言わざるを得ない。

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