小泉農相、米の需給緩和「米価安定へ必要なプロセス」
小泉進次郎農林水産大臣は7日の閣議後会見で、米の需給が緩和するのではないかという米穀関係者の見方があることについて、「今までの課題がずっと米が無くて需給がタイトというところから、緩和傾向になってきた。米価高騰を安定化に向けていく過程の中で必要なプロセスなので、これをソフトランディングに向けていきたい」と述べた。
そのほか、輸出を国内需給のバッファとすることの現実性や食料システム法の施行に向けた課題、農地バンク制度に係る固定資産税の課題徴収問題などについてコメントした。
今後の米の需給・価格の見通しについて問われ、小泉農相は次のように答えた。
「今回の調査結果からは現状、依然としてひっ迫や高値感はあるものの向こう3カ月では、緩和、低下傾向が強まっているものと受け止めている。これまで繰り返し述べてきたが、仮に56万tとなれば過去5年間で最大、更に上回るかもしれない状況にあり、民間在庫は過去10年間で最大に匹敵する――こうした数字データを含めて、新米の最初の高値だけでなく1年間トータルで見てほしい。今回の米穀機構の先行き見通しは、そうしたことを冷静に受け止められ始めているあらわれかもしれない。収穫量が確定してからもマーケットが冷静な動きになるように、こちらからも繰り返しメッセージを届けていく必要がある」。
自民党総裁選で米政策に関する論争が深まらなかった点について、争点化が避けられていたのではないかという見方や、他の候補者の中には石破茂総理が掲げる、増産に舵を切る政策転換と距離のある考えがあり、政策転換が難しくなっているのではないかとの見方がある点については「論争にならなかったのは、基本的に共通の認識があるということだと評価すべきだ」と述べた。
輸出を拡大して、国内で足りない時に輸出分をバッファとして活用するというのが現実的に可能なのかという問いに対しては、次のように答えた。
「短期間で輸出から国内に向けるというのは現実的に難しいという指摘はその通りだと思う。一方で国家の緊急事態、国民が飢えかねない時には、政治はいかなる手段を講じても国民を飢えさせない措置をとることは当然のこと。世界を見ても食料困難事態になった場合、海外輸出をいったん閉ざすことは他国でもやっていることだ。そういう状態に陥らないようにすることが大前提だが、これから増産できる環境を構築する中で、私は“第2の備蓄”と表現している。中長期的に一つの備えにはなると思う。また攻めの面でも、日本の人口減少・高齢化が大きなトレンドとして当面変わらない中、いかに海外マーケットを開拓していくかという方向性には揺るぎないものがあると考えている」。
〈米麦日報 2025年10月8日付〉